人事・労務のお役立ち情報

残業代を固定にして支払いたいのですが、問題ないでしょうか?

以下の3つの条件を満たせば残業代を固定で支払っても差し支えないです。

1.当該月の残業時間に対する残業代が固定残業代と同等以下であること
2.就業規則(賃金規程)や雇用契約書にて何時間分の固定残業であることが明確になっていること
3.実際に固定残業に対応する残業時間を超えた場合には、別途超えた部分の残業代を支払うこと(賃金規程などにも明記すること)

固定残業については、残業代に未払いにつながりやすいため十分に注意して、支払い条件を決めましょう!

就業規則を届出てないのですが、届出ていない就業規則は無効なのでしょうか?

就業規則を作成しながら、所轄労働基準監督署に届出で行っていない会社がよくあります。結論から言えば、就業規則の届出は「免罰効果」と言って、届出ていないと「届出義務違反」を問われますが、届出でていないだけで、即座に就業規則そのものに効力がないということにはなりません。

ただし、就業規則を周知する必要があります。

退職時に年次有給休暇の買い上げを求められた場合は、応じないといけないのでしょうか?

年次有給休暇は労働契約の終了とともに行使できなくなります。
つまり在職中であれば、年次有給休暇を使用できます。

年次有給休暇の買い上げを要求された場合に、応じなければならないかということですが、法令通り付与している年次有給休暇であれば使用者に買い上げの義務はありません。

参考までに美容業界や飲食業などでは、年次有給休暇を慢性的に取得しづらい環境にあるため、あらかじめ年次有給休暇を年度末にまとめて買い上げを労働者に約束している企業がありますが、これは違法です。(労基法39条違反)

労働者のためということであっても年次有給休暇は特別な場合を除いて買い上げの予約することはできません。

 

就業規則の届出について

就業規則は会社が法令に則り単独で作成することができます。つまり、従業員を交えて就業規則を作成することまでは法令上求めてられていません。
さて、就業規則の届出に関しての実務上の流れですが、以下の通りです。
1.当該事業場の労働者の過半数代表を選出する
2.労働者代表に意見を聴取する(意見書を作成し労働者代表の署名または記名・捺印)
3.就業規則届出の作成(代表者の署名または記名・捺印)
4.意見書と就業規則届けを管轄の労働基準監督署に届出

労働者の過半数代表の選出については、幾つかの方法が考えられます。
ただし、よりあるケースとして企業側が指名し、選挙等を一切行わず選んだ方は労働者の過半数代表者とはなりえないため選び方には注意が必要です。

試用期間満了で自動的に雇用契約を終了できますか?

三菱樹脂事件(最大判昭和48・12・12民集27巻11号1536頁)で、最高裁は試用期間中は「解約権留保付労働契約」が成立しているとしています。

本採用の拒否は、解約権の行使、つまり解雇にあたるため、本採用をしないと決定した場合でも自動的に労働契約が終了するわけではありません。

労基法20条の解雇予告が必要であり、解雇にあたり「客観的に合理的な理由があり、三菱樹脂事件の中でも社会通念上相当として是認できる場合にのみ許されるとしています。

1カ月単位の変形労働時間はどのような場合に効果的か教えてください。

1カ月単位の変形労働時間制は、1週40時間、1日8時間の特例的な労働時間制です。
通常は1週40時間または1日8時間を超えた時点で割増賃金の支払い義務が生じますが、1カ月単位の変形労働時間制では、1週40時間を超える週や1日8時間を超える日をあらかじめ定めることで、その時間を超えることた時点で割増賃金の支払いが生じます。

それではどいう場合に1カ月単位の変形労働時間が有効かと言うと・・・・
1カ月の間に業務の繁閑が明確な場合です。
例えば、経理や給与計算担当者などです。
一定の期間は1日8時間を超える日が限定的に続く場合に、他の週でその分労働時間を短くすることで、1カ月トータルでは週40時間を満たして
いれば問題ありません。

その他には、10名未満の美容室や飲食店で週44時間の特例で労働してもらいたい場合などにもメリットがある場合があります。

労働時間の概念を教えてください。

労働時間とは「使用者の指揮命令下におかれた時間」と理解されいます。
ただ、実務を考えると大きく分けて2つにできます。

①「労働基準法上の時間」、つまり「実質的な労働時間」
②「所定労働時間」、つまり「形式的な時間」

実務でよく質問いただくこととして、「どの時間」に対して割増賃金を支払えばいいか?というものです。

割増賃金は、あくまで「実質的な労働時間」にたいして支払うと意識すれば、頭の中がずいぶんすっきりするのではないでしょうか!?

「フレックスタイム制」を導入したいのですが、導入にあたり注意点を教えてください。

法令要件を欠くフレックスタイム制を導入している企業をよくみます。
たとえば、フレックスタイム制であるにも関わらず、始業時間を指定したり、朝一番で会議のある日のみ労使協定などを定めずフレックスタイム制を解除するなど、フレックスタイム制の趣旨を度外視しているケースです。

フレックスタイム制は「始業および終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」労働時間制です。
まずは、業務運営上始業と終業時間を労働者にゆだねても、仕事がうまく運用できるかについて十分に検討したのちに導入すべきだと考えます。

労働時間の記録にはタイムカードを使わないといけないのでしょうか?

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」「2.労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」の中で、使用者が始業・終業時刻の確認および記録の原則的な方法の1つに、「イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認、記録すること」とあります。
ただし、これは法令ではないため強制力はありません。

タイムカードで打刻した時間が、そのまま労働時間になるかと言えば、そうでない時間も含まれている可能性もあるため、タイムカードに打刻された時間は、例としては「会社に入ってきた時間」そして「会社を退社した時間」の把握のために使い、「実際に労働した時間」は割増賃金の支払いに関係するため、実働時間として別の管理が望ましいと考えています。

「パソコンの起動と切断」を労働時間の把握と計算に使いたいのですが可能ですか?

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平13.4.6基発339号」の中で次のように述べられている。

1 始業終業時刻の確認および記録
使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業終業時刻を確認し、これを記録すること。

2 始業終業時刻の確認および記録の原則的な方法
使用者が始業終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。

ア 使用者が、自ら現諾することにより確認し、記録すること。
イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

3 自己申告制により始業終業時刻の確認および記録を行う場合の措置
上記2の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は、次の措置を講ずること。

ア 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

イ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。

ウ 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のため の社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとと もに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

実務上はタイムカードなどを使って労働時間の把握に努めるのが望ましと思われるが、最近では一人1台のパソコンを付与している企業も多いことから、パソコンの電源の起動と切断をタイムカードの代わりにできないか考える企業も多い。
そこで、パソコンの電源の起動と切断について裁判例を紹介します。

PE&HR事件(東京地判平18.11.10 労判 931号65頁)では、「デスクワークをする人間が、通常、パソコンの立ち上げと立ち下げをするのは出勤と退勤の直後と直前であることを経験的に推認でき るので、他に客観的な時間管理資料がない以上、当該記録を参照するのが相当というべきである。」とし、パソコンのログデータを参照し、推認すべきとしました。

退職勧奨を行う場合の注意点について教えてください。

労働者側からの退職の申出と使用者の承諾によって退職に至る場合と、使用者からの退職勧奨つまり、使用者からの退職の誘引と労働者の承諾によって退職に至る場合があります。
退職勧奨と解雇を混同している方も多く見受けられますが、解雇は使用者より一方的に労働契約を終了してしまう点において、退職勧奨とは異なります。

実務上退職勧奨を行う場合に注意しなければならなのは、「退職勧奨」が「退職強要」にあたると判断されてしまう行為をすることです。

例えば、執拗に長期にわたり退職勧奨を行った結果不法行為を形成したと判断された事例があります。(下関商業高校事件・広島高判昭和52.1.24労判345号22頁)

退職勧奨ならぬ退職への追い込み行為についは絶対に避けるべきです。

今すぐにでも懲戒解雇をしたいのですがどのように進めればよいでしょうか?

よくあるご相談として会社の金銭を着服または横領し、のちに発覚し規律保持のため即時に懲戒解雇を行う必要があるケースがあります。
金銭的損害が大きい場合も多く企業としても即日に解雇をして雇用契約を解除したいのですが、この場合でも30日前予告は必要です。ただし、即時解雇となれば管轄労基署の除外認定を受ける必要があり、解雇までにそれなりの期間が必要となります。
これまでの弊社の事案では、労基署に除外認定を出し、労基署で対象となる社員への聞き取り調査や会社とのやり取りなどを含め、決定出るまでが早い事例で10日間程度待つ必要がありました。
その他懲戒解雇はその手続きを就業規則に定めている場合には、その定めに従い、定めてない場合は、本人に弁解の機会を与えるなどのちに手続きの瑕疵を指摘されないように進めていく必要があります。

「辞職」と「合意解約」の違いを教えてください。

辞職は、「何がなんでもやめるという意思」が明確な場合に、辞職の意思表示をしてから2週間を経過すれば雇用契約は終了します。また、辞職の場合には、辞職の意思表示が使用者に到達すると撤回はできなくなります。

一方合意解約は、労働者から「やめたいのですが」との意思表示に対して、使用者が承諾の意思表示をする場合をいいます。

合意解約も使用者が承諾をした場合には、撤回はできません。
実務ではほとんど場合は合意解約にあたるのではないでしょうか?
よって、退職の承諾をする者を明確にする必要があるのと、撤回されてトラブルに発展しないように、「承諾」の意思表示も何かしらの書面で行うのことをお勧めします

うつ病など精神疾患に対応した休業規定を作りたいのですが、どのような内容を規定すればよいでしょうか?

参考例としては以下の通りです。
企業の考えが反映されるため、経営方針に従い決めてください。

1.「精神疾患になった場合に休職を発令することがある」と規定する。
2.「罹患した精神疾患が治癒する可能性がある場合に限り休職発令する」と規定する。
3.「医師の診断書の提出」と「会社の指定医でも診断してもらうことがある」と規定する。
4.「勤続年数に応じて休職期間」を規定する。
5.「休職中の連絡」や「社会保険料の被保険者負担分」について規定する。
6.「復職時の条件」について規定する。
7.「復職後の再発時の処遇」について規定する。
8.復職時に従事する業務について規定する。
9.「リハビリ期間等」について規定する。
10.休職期間満了時に治癒してない場合と「退職」として規定する。

実際に就業規則に規定する場合には、企業の考えを反映させますが、
上記の内容が最低限規定してあるかをチェックしましょう!

社員があいまいな健康状態状態で「休業したい」と申し出てきましたが、休業させなければならないのでしょうか?

就業規則の「休業規定」をまずは確認してください。
休業はあくまで会社が必要と認めた場合に休業を命じるものであり、
社員の求めに必ず応じなければならない性質のものではありません。
診断書の内容を主治医に確認できるように就業規則にこれが可能になるように規定することも万が一の時に有効であるかもしれません。