【専門業務型裁量労働制】労使協定の更新・締結のたびに「同意書」は必要?実務上の注意点を解説
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2026.03.07
2024年(令和6年)4月の制度改正により、専門業務型・企画業務型の両裁量労働制において、労働者本人の同意を得ることが必須要件となりました。
これに伴い、企業の実務担当者様からは「制度を更新するたびに同意書を取り直す必要があるのか」というご質問を多くいただきます。
今回は、厚生労働省のQ&Aに基づき、同意取得のタイミングと実務上の留意点について解説します。
1. 同意が必要となる主なケース
裁量労働制の導入時だけでなく、以下のようなケースでは改めて労働者の同意を得る必要があります。
制度の再適用時 健康確保措置(労働時間が一定時間を超えた場合など)によって一旦裁量労働制の適用が解除された労働者に対し、再度制度を適用する場合は、労使協定や決議の内容に従い、改めて個別の同意を得なければなりません。
この際、使用者は本人の勤務状況や健康状態を踏まえ、再適用の可否を個別に判断する必要があります。
労使協定・決議の更新時 協定の有効期間が満了し、新たに締結し直す際も、制度の内容を改めて説明し、同意を確認することが求められます。
2.同意を得る際の「説明」が重要
単に書類にサインをもらうだけでなく、「制度の概要」を明示した上で説明を行うことが適当とされています。
説明すべき事項には、労使で決めた「みなし労働時間数」だけでなく、「実際の労働時間にかかわらず、その時間分働いたものとみなされること」もしっかりと含める必要があります。
3.「自由な意思」に基づいた同意であること
労働者の同意は、本人の「自由な意思」に基づくものでなければなりません。
以下のような場合、自由な意思に基づいたものとは認められず、労働時間のみなし効果(裁量労働制としての効力)が否定されるリスクがあるため注意が必要です。
◆同意した場合の評価制度や賃金制度について、事実と異なる説明を行った。
◆同意しなかった場合の配置や処遇について、誤った説明を行い、労働者が適切に判断できない状態で同意させた。
個別具体的に判断されますが、労働者が制度のメリット・デメリットを正しく理解した上で検討・判断できる環境を整えることが不可欠です。
4.同意の撤回を禁止することはできない
労使協定や決議事項として「同意の撤回に関する手続き」を定めることになりました。
ここで重要なのは、この手続きは「同意の撤回が可能であること」を前提に定めなければならないという点です。
例えば、労使協定の中で「一度同意したら、有効期間中は同意の撤回を認めない」といった制限を設けることはできません。
(実務へのアドバイス)
裁量労働制は、労働者の自主性を尊重する制度であるからこそ、手続きの適正さが厳格に求められます。
①説明資料の整備: 裁量労働時間制の仕組みや評価・賃金体系を網羅した説明資料を用意しましょう。
②同意書の管理: 再適用時や更新時にスムーズに同意が得られるよう、フローを明確にしておきましょう。
③撤回手続きの明文化: 同意を撤回したい場合の申し出先や期限などを、あらかじめ労使で決めておくことが重要です。
裁量労働制の適切な運用や、労使協定の記載内容についてご不安な点がございましたら、お気軽に当法人までご相談ください。


