上場準備中のIT企業が労務監査で指摘される”あるある”10項目|IPO前に必ず確認を
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労務監査
2026.04.15
いつかは自社を上場させたい、そんな大きな夢を描いて走り続けているIT企業の経営者や人事担当者の方は多いのではないでしょうか。いざ上場準備が本格化し、証券会社や監査法人によるIPO労務監査が始まると、思わぬところで「イエローカード」を出されるケースが少なくありません。
実は、成長スピードの速いIT業界特有の働き方が、現在の労働法制と食い違っているケースが多々あるのです。せっかく事業が絶好調でも、労務の不備が原因で上場スケジュールが延期になってしまうのは、会社にとって大きな損失といえます。今回は、IPO労務監査においてIT企業が指摘を受けやすい、いわゆる「あるある項目」を10個に整理して解説します。
1.上場準備における労務管理の壁
上場を目指す過程で、なぜこれほどまでに労務が重視されるのでしょうか。それは、上場企業には「従業員の権利を適切に守り、持続可能な経営を行うこと」が強く求められるからです。特にIT企業は、裁量労働制やリモートワークなど柔軟な働き方を導入していることが多く、実態とルールの乖離が起きやすい傾向にあります。
2.多くの企業が直面する指摘事項10選
まず一つ目は、36協定の延長時間を超えた労働です。特に繁忙期のシステムリリース前などに、法律で定められた上限を超えていないか厳しくチェックされます。
二つ目は、労働時間の客観的な記録です。自己申告制ではなく、PCのログや入退館記録と勤怠データが一致している必要があります。
三つ目は、未払い残業代の有無です。固定残業代を採用していても、その時間を超えた分を1分単位で精算していないと指摘の対象になります。
四つ目は、裁量労働制の不適切な運用です。専門業務型裁量労働制は対象となる職種が厳密に決まっており、単なる「エンジニアだから」という理由だけで全員に適用することはできません。
五つ目は、管理監督者の範囲です。部長や課長といった役職があっても、経営への関与や出退勤の自由がない「名ばかり管理職」と判断されると、過去の残業代精算を求められるケースがあります。
六つ目は、年5日の年次有給休暇の確実な取得です。これは全ての企業に課された義務であり、取得漏れは重大な不備とみなされます。
七つ目は、健康診断の実施率です。受診させるだけでなく、結果に基づいた医師の意見聴取まで行っているかが問われます。
八つ目は、ストレスチェックの実施と事後対応です。従業員数が一定規模以上の場合は必須となり、メンタルヘルスケアの体制も評価対象です。
九つ目は、就業規則と実態の整合性です。古い規則をそのまま使っており、現状の副業ルールやテレワーク規定が反映されていないケースが散見されます。
最後となる十個目は、ハラスメント対策です。相談窓口が設置されているだけでなく、実際に機能しているか、周知されているかが重要です。
3.社労士から見たIPO準備のポイント
IPO労務監査をクリアするために大切なのは、単に書類を整えることではありません。大切なのは、従業員が安心して働ける環境を本気で整えるという経営陣の姿勢です。監査で指摘される項目は、裏を返せば「会社を守るための防波堤」でもあります。
IT企業は属人的なスキルに頼りがちですが、組織として上場を目指すなら、誰が抜けても揺るがない労務基盤が必要です。今のうちから一つひとつの課題をクリアしていくことで、投資家からも従業員からも信頼される「強い会社」へと脱皮できるはずです。
(まとめ)
上場準備は、自社の労務環境を見直す絶好のチャンスです。今回挙げた10項目に心当たりがある場合は、早めに対策を講じることをお勧めします。完璧な状態から始める必要はありません。現状を正しく把握し、改善のサイクルを回し始めることが、IPOへの最短ルートとなります。
IPOに向けた労務整備について詳しくは当法人の労務コンサルティングページをご覧ください。
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