「みなし労働時間制は万能ではない|IT企業で裁量労働制が否定された実例と対策」
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2026.04.21
IT業界の現場では、みなし労働時間制という言葉が当たり前のように飛び交っているかもしれません。専門的なスキルを持つエンジニアの方々に、働く時間を自分たちで決めてもらう。一見すると効率的で現代的な働き方に見えますが、実はここ数年、この制度の運用を巡って大きな変化が起きていることをご存じでしょうか。
特に専門業務型や企画業務型といった裁量労働制を採用している企業において、労働基準監督署から制度の適用が認められないと判断されるケースが少なからずあります。経営者や人事担当者の方々の中には、うちは専門職ばかりだから大丈夫だと考えて導入したものの、実態との乖離に不安を感じている方も少なくないはずです。
エンジニアやクリエイターが中心の職場では、納期直前の追い込みや突発的なバグ対応などで、どうしても労働時間が不規則になりがちです。管理側としては、一人ひとりの細かい時間を追うよりも、成果で評価したいという思いがあるでしょう。しかし、その思いとは裏腹に、法律上のルールは年々厳格化されており、運用の仕方を一歩間違えると多額の未払い残業代といった問題に発展する可能性を秘めています。
みなし労働時間制は万能ではない
IT企業でこの制度が否定されてしまう最大の理由は、仕事の進め方に関する具体的な指示にあります。制度の本来の趣旨は、働く側が自分の裁量で時間配分を決定することにあります。そのため、会社側が毎日の始業時刻や終業時刻を厳密に指定していたり、時間単位で細かく作業の進捗を管理したりしていると、裁量がないとみなされる傾向があります。
解決策としてまず取り組むべきは、業務命令の出し方を見直すことです。会議の時間や締め切りを設定すること自体は問題ありませんが、その過程における作業順序や手段まで細かく指示しすぎないことが重要です。また、対象となる業務が、法律で定められた範囲に本当に入っているかどうかを再確認することも欠かせません。
社会保険労務士の視点からお伝えしたいのは、2024年4月からスタートした改正ルールの重要性です。今回の改正では、制度を適用する労働者本人からの個別同意が必要になったほか、制度の内容を説明した記録の保存も義務付けられました。これまでは労使協定(会社と従業員の代表が結ぶ約束事)を届け出れば済んでいた部分もありましたが、これからは一人ひとりの納得感と手続きの透明性がより厳しく問われるようになります。
専門家として多くの現場を見てきた経験から言えば、制度を導入すること自体が目的になってしまい、運用のメンテナンスが後回しになっている企業が散見されます。しかし、労働環境への意識が高まっている現代において、制度の形骸化は企業にとって大きなリスクとなり得ます。定期的に実態調査を行い、現場のマネジメント層に対して裁量労働の本質を教育していく姿勢が、これからのIT企業には求められています。
(まとめ)
みなし労働時間制は正しく運用すれば、従業員のモチベーション向上と企業の生産性アップを両立できる素晴らしい仕組みです。しかし、それはあくまで法律の枠組みと実態が一致していることが前提となります。今回の改正を機に、自社の制度が単なる残業代削減の手段になっていないか、もう一度点検してみてはいかがでしょうか。
貴社の労働環境の適正化や制度設計について、詳しくは当法人の労働時間コンサルティングサービスをご覧ください。
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