育成就労制度における「日本語教育」の重要性:受入企業が守るべき法的義務と運用のポイント
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2026.07.20
1.日本語能力の向上支援は「努力目標」ではなく、受入れ継続のための「法的義務」です
育成就労制度において、外国人の日本語能力の向上を図ることは、単なる推奨事項ではありません。「入国前後のA1相当の習得」および「3年間の就労期間中のA2相当の習得」を目指すことは、育成就労計画の認定基準に関わる法的義務です。
受入企業(育成就労実施者)は、日本語講習の受講機会を提供し、その費用を負担し、さらには目標とする試験を確実に受験させなければなりません。
これらを怠り、意図的に機会を与えなかった場合には、育成就労計画の認定取消しという厳しい処分を受けるリスクがあります。日本語教育への適切な対応は、特定技能へのスムーズな移行を支え、中長期的な人材確保を実現するための最優先課題と言えます。
2.なぜ制度として厳格な日本語能力が求められるのか
制度上、日本語に関する厳しい要件が設けられている理由は、主に以下の3点に集約されます。
①特定技能1号への移行を前提とした「育成」のため
育成就労制度の最大の目的は、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能・日本語能力を有する人材を育成することです。特定技能1号への移行には「日本語教育の参照枠A2相当以上」の試験合格が必須条件となっており、この水準に到達させるための計画的な育成が実施者に課せられています。
②労働災害の防止と円滑なコミュニケーションのため
現場での指示や安全教育は日本語で行われるのが通常です。効果的かつ安全に業務を遂行し、日常生活を円滑に送るためには、一定の日本語能力が不可欠です。日本語能力の不足は、誤指示による事故や地域住民との摩擦を招く原因となるため、受入れの基盤として重視されています。
③法的保護と権利の担保のため
育成就労外国人は日本人と同様に労働関係法令の適用を受けます。自身の権利を理解し、トラブル時に適切な相談(申告)を行うためには、最低限の日本語能力が必要です。また、雇用契約締結時において、労働条件を母国語等で正しく理解させる義務が企業側に課されているのも、この権利保護の観点に基づいています。
3.日本語対応において注意すべき具体的ケース
実務上、特に注意が必要な4つのケースを挙げます。
事例1:入国後講習における「専念義務」の遵守
育成就労外国人は、入国後、業務に従事する前に一定期間の「入国後講習」を受ける必要があります。この期間中の日本語講習などは座学で行う必要があり、たとえ模擬的な作業であっても業務に従事させることは一切認められません。
- 注意点: 講習期間の前後に「早朝だけ」「夜間だけ」といって残業をさせることも違反となり、認定取消しの対象となります。
事例2:A2相当目標講習(100時間以上)の提供と費用負担
3年間の就労期間中に、A2相当(JLPT N4等)を目指すための日本語講習を100時間以上受講できる機会を提供しなければなりません。
- 注意点: 講習費用は実施者が負担する必要があります。また、オンラインで実施する場合は、録画視聴ではなく「同時・双方向」で意思疎通ができる形式でなければなりません。講習時間を労働時間とする義務はありませんが、受講環境を整えることは必須です。
事例3:雇用契約時等の「母国語による直接説明」
雇用契約を締結する際、賃金(特に税金や社会保険料を控除した後の手取り額)や労働条件、待遇について、外国人が十分に理解できる言語(母国語等)で直接説明しなければなりません。
- 注意点: 説明は「対面」または「リアルタイムのオンライン」で行う必要があり、単に資料を渡すだけや、録画動画を見せるだけでは認められません。
事例4:試験受験の義務と「労働時間」の取扱い
1年経過時(A1相当等)および終了時(A2相当等)に、目標とする日本語試験等を受験させることは実施者の義務です。
- 注意点: 受験に要する時間は「労働時間」に該当します。受験日を欠勤扱いにしたり、有給休暇を消化させて受験させたりすることは認められません。また、受験料や交通費も実施者または監理支援機関の負担となります。
4.適正な日本語支援が「選ばれる企業」への近道です
育成就労制度における日本語能力への対応は、単なる事務手続きではなく、コンプライアンス遵守の核心です。適切に学習機会を提供し、試験費用や受験時間を確保することは、法令違反を防ぐだけでなく、外国人のモチベーション向上や早期の戦力化にも直結します。
また、現場では「やさしい日本語」を活用し、相手に配慮したコミュニケーションを心がけることで、信頼関係が構築され、不当な転籍(職場変更)の防止にもつながります。
当法人では、育成就労計画の認定基準に適合した賃金体系の構築や、就業規則の改定、帳簿書類の整備などを通じて、貴社の適正な受入れをトータルでサポートいたします。
日本語教育の体制整備や、外部講師の手配などでお困りの際は、ぜひ専門家である弊法人へご相談ください。
(※本記事は2026年4月時点の運用要領等に基づいています。最新の制度内容については随時ご確認ください。)
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