育成就労制度における「日本語教育」の実務ガイド:受入企業が取るべき具体的ステップとは?
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2026.07.21
1.日本語教育は「現場任せ」ではなく、認定された教育機関と連携した「計画的実施」が不可欠です
育成就労制度において、受入先企業(育成就労実施者)に求められる日本語教育は、現場での日常会話に留まりません。制度の適正な運用のためには、「認定日本語教育機関」や「登録日本語教員」による質の高い教育機会を提供し、3年間でA2相当(特定技能1号水準)へ到達させるための法的・実務的な枠組みを整えることが求められます。
具体的には、入国直後の「入国後講習」から始まり、就労中の「A2相当目標講習(100時間以上)」の提供、そして定期的な「評価試験の受験」まで、育成就労計画に基づいた一貫したサポート体制を構築しなければなりません。
2.なぜ具体的かつ厳格な「実施方法」が定められているのか
制度が日本語教育の「質」と「時間」を厳格に規定している理由は、主に以下の3点です。
①「育成」の実効性を担保するため 育成就労は、3年間で特定技能1号への移行を前提としています。日本語能力の不足は技能修得の妨げとなるだけでなく、特定技能への移行試験(A2相当)に合格できないリスクを招きます。これを防ぐため、公的に認められた教育課程による学習が義務付けられています。
②オンライン教育の質を維持するため 利便性の高いオンライン講習ですが、単なる動画視聴では学習効果が限定的です。そのため、制度では「同時・双方向」のコミュニケーションを必須とし、実効性のある教育を求めています。
③受入企業の負担と責任の明確化 教育費用の負担や学習環境の整備を実施者の義務とすることで、外国人が経済的・環境的な不安なく学習に専念できる環境を確保し、失踪や不当な転籍を防ぐ狙いがあります。
3.日本語教育を具体的にどう進めるべきか:4つの実務ステップ
受入企業が具体的に取り組むべき事項を、ステップ別に解説します。
ステップ1:入国前後の「A1相当」の確保
育成就労外国人は、就労開始前までに日本語教育の参照枠**A1相当(JLPT N5等)**の試験に合格するか、相当する講習を受講している必要があります。
- 具体的な対応: 提携するベトナムの日本語学校等において、入国前講習(160時間以上の課程)を実施させるのが効率的です。もし入国時点でA1相当の試験に合格していない場合は、入国後講習の中で100時間以上の日本語講習を「認定日本語教育機関」等で受講させることが必須となります。
ステップ2:「認定日本語教育機関」または「登録日本語教員」の選定
日本語科目の講習は、以下のいずれかで行う必要があります。
- 文部科学大臣の認定を受けた認定日本語教育機関が実施する「就労のための課程」。
- (経過措置として)登録日本語教員の資格を持つ者が実施する授業(1クラス20人以下)。
- 実務のポイント: 自社で講師を直接雇用する場合でも、その講師が「登録日本語教員」の資格を有し、規定の人数制限を守る必要があります。多くの企業にとっては、外部の認定日本語学校に委託するのが現実的です。
ステップ3:「同時・双方向」オンライン講習の環境整備
オンラインで講習を実施する場合、講師と受講者が音声・映像を伴う方法で、同時に意思疎通できる状態で行わなければなりません。
- 具体的な対応: 社内の会議室等に、安定したインターネット環境、PCまたはタブレット、マイク・カメラを整備してください。育成就労外国人の私費に頼ることなく、受入企業がこれらの備品を準備し、学習に適した「机と椅子」が整った環境で受講させることが義務付けられています。
ステップ4:就労中の「A2目標講習」100時間の提供
3年間の育成就労期間中に、A2相当を目指すための講習を100時間以上受講する機会を提供します。
- 費用と時間の取扱い: 講習費用は受入企業が負担しなければなりません。受講時間そのものを労働時間とする義務はありませんが(残業扱いにしなくてもよい)、学習機会を意図的に与えないことは計画違反となり、認定取消しの対象となります。
- 試験受験の義務: 1年目(A1相当等)および終了時(A2相当等)に、日本語能力を測定する試験を確実に受験させてください。この受験に要する時間は労働時間として取り扱う必要があります。
4.適正な日本語教育は「人材定着」と「安全」の土台です
日本語教育を適切に行うことは、単なるコストではなく、現場の安全確保や生産性向上、そして「日本で働き続けたい」と思ってもらうための最大の投資です。
また、講習以外の場面でも、現場の社員が「やさしい日本語」(相手に伝わりやすい言葉への言い換え)を意識してコミュニケーションをとることで、信頼関係が深まり、トラブルや不当な転籍の防止に繋がります。
弊法人では、育成就労計画に合致した日本語講習の体制構築や、外部委託契約の適正性確認、さらには日本語能力に応じたステップアップまで、トータルでコンサルティングを行っております。ベトナム現地ネット網を活かした日本語学校との連携支援も可能ですので、日本語教育の体制整備に不安をお持ちの企業の皆様は、ぜひ一度ご相談ください。
(※本記事は2026年4月時点の運用要領等に基づいています。最新の制度内容については随時ご確認ください。)

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