東京都千代田区 社会保険労務士法人 秋田国際人事総研
フレックスタイム制の勤怠管理における工夫とは?IT企業の実務ポイント
Blog

お知らせ・ブログ

お知らせ・ブログ 背景画像

フレックスタイム制の勤怠管理における工夫とは?IT企業の実務ポイント

2026.08.17

フレックスタイム制を導入したものの、勤怠管理の運用に悩む人事担当者さまは多いです。自由な働き方を尊重しながら正しく労働時間を把握するのは、とても大変です。フレックスタイム制の勤怠管理には、従来の固定時間制とは異なる独自の工夫が必要です。
この記事では、実務の落とし穴から具体的な解決策まで分かりやすく解説します。

なぜ今フレックスタイム制の勤怠管理を見直すことが重要なのか

柔軟な働き方の普及と労働時間把握の難しさ

近年、IT業界やスタートアップを中心に、柔軟な働き方を採用する企業が増加しています。フレックスタイム制は、働くかたが始業や終業の時間を自分で決められる優れた仕組みです。

しかし、管理する側の視点に立つと、だれがいつ働いているのかが見えにくくなります。従来のタイムカードによる一律の管理方法では、実態に合わなくなるケースが少なくありません。

そのため、今の時代に合わせた新しい管理の工夫をかんがえることが求められています。状況に応じた柔軟な運用と正確な管理を両立させることが、組織運営の大きな鍵となります。

特にリモートワークと組み合わせる場合、実際の稼働時間を把握することがむずかしくなります。自己申告だけに頼ってしまうと、サービス残業や過重労働を見過ごすリスクが高まります。

働くかたの自主性を大切にしながらも、会社として労働時間を可視化する取り組みが必要です。こうした背景から、多くの企業で管理手法の根本的な再構築が求められています。

法的リスクを回避するための適切な管理

適切な時間の把握を怠ると、未払い残業代の発生などのリスクが高まります。過重労働の見落としも、企業にとって大きなトラブルにつながる重要な問題です。

労働基準法では、フレックスタイム制であっても使用者の労働時間把握義務が課されています。労働時間の集計方法を誤ると、意図しない労務トラブルへ発展する恐れがあります。

企業を守り、働くかたが安心して業務に取り組める環境を整えることが大切です。そのために、フレックスタイム制の勤怠管理に関する手法を定期的に見直しましょう。

また、時間外労働に関する取り決めである36協定の上限時間を超えないよう管理することも必須です。清算期間内での時間管理が曖昧になると、法違反になる可能性が生じます。

経営陣や人事部門が一体となり、リスクを未然にふせぐ体制を築くことが欠かせません。日頃からの細かなチェックとルールの運用が、会社と従業員をともに守ることにつながります。

フレックスタイム制の勤怠管理で陥りやすい課題と落とし穴

コアタイムとフレキシブルタイムの運用曖昧化

コアタイムやフレキシブルタイムの設定が、現場で有名無実化してしまうことがあります。例えば、コアタイムに遅刻したときの取り扱いが曖昧なケースです。

フレキシブルタイム外での稼働についてのルールが不透明なことも少なくありません。現場の判断に頼り切ってしまうと、社内で不公平感や混乱が生じる原因になります。

社内規程に定めた内容と、実際の現場での運用がかけ離れてしまうのはよくある落とし穴です。事前に明確なルールを定めておくことが、トラブルを防ぐためにも欠かせません。

コアタイムの遅刻や欠勤が発生した際、どのように給与に反映させるかも大きな課題です。控除をおこなうのか、清算期間内の総労働時間で調整するのかを明確にすべきです。

曖昧な運用のまま放置すると、働くかたの不満が溜まりエンゲージメントが低下します。すべての従業員が納得して働けるよう、ガイドラインを具体化しておきましょう。

清算期間をまたぐ総労働時間の計算ミス

清算期間における総労働時間の計算は、非常に複雑になりやすいポイントです。清算期間が1か月を超える場合、週平均40時間を超える労働時間の把握が必要となります。

法定労働時間の枠を超えた分の残業代計算を誤る企業が後を絶ちません。翌月への不足分の繰り越し処理についても、間違えた解釈が多く見られます。

手作業での集計や表計算ソフトへの依存は、計算ミスを誘発する大きな要因となります。フレックスタイム制の勤怠管理では、手動計算に頼りすぎない工夫が重要です。

【画像挿入推奨:複雑なシフトや労働時間の集計に頭を悩ませる管理職のイメージ画像】

清算期間内の総労働時間が不足した場合の取り扱いも間違いやすい事項です。当月の給与から控除するのか、翌月の総労働時間に加算するのかルールが必要です。

勝手な自己判断で処理をおこなうと、賃金全額払いの原則に違反する可能性があります。正確な計算手法を社内で標準化し、ミスが起きない仕組みをつくりましょう。

フレックスタイム制の勤怠管理をスムーズにする具体的な工夫

クラウド型勤怠管理システムの導入と自動化

フレックスタイム制の勤怠管理を成功させるための最大の工夫は、専用システムの導入です。リアルタイムで労働時間を集計できるシステムを活用することが有効です。

集計ミスのリスクを大幅に減らし、担当者の業務負担を軽減できます。清算期間内の残り時間の可視化や、不足時間の自動計算ができるツールが便利です。

打刻漏れが発生した際のアラート機能を設定しておくことも効果的です。これにより、管理者の確認作業を劇的に効率化することができます。

詳しくはこちらの厚生労働省の記事もご参照ください。

管理手法メリットデメリット適合する組織規模
紙・タイムカード導入費用を安く抑えられる手集計に手間がかかり計算ミスが起きやすい少数精鋭の組織
表計算ソフト費用を抑えつつ計算を自動化できる制度改定への対応が難しくファイル管理が煩雑10名以下の小規模
クラウド勤怠システム自動計算・リアルタイム把握・法改正に対応月額の運用費用が発生する全規模(特に成長企業・IT)

導入にあたっては、自社の就業規則に合った設定ができるか確認しましょう。複雑な清算期間の計算に対応しているシステムを選ぶことがポイントです。

システムを活用することで、集計作業に費やしていた時間を戦略的な人事業務へ充てられます。デジタル化を推進し、効率的で精度の高い管理環境を整えていきましょう。

明確な社内ガイドラインの策定と周知徹底

システム導入とあわせて、働くかたに向けたガイドラインを整備することが大切です。フレックスタイム制であっても、完全に自由に働いてよいわけではありません。

一定のルールが存在することを、社内全体に周知徹底する必要があります。ガイドラインに記載すべき具体的な項目として、以下のようなものがあります。

  • コアタイムに遅刻や欠勤をするときの連絡手順
  • 清算期間の最後における過不足時間の調整方法
  • 時間外労働をおこなう場合の事前申請ルール
  • 休日労働や深夜労働における事前許可の仕組み

これらを明確にしたマニュアルをつくり、定期的な説明会をおこなうことが大切です。運用のズレを未然にふせぐための工夫を継続していきましょう。

詳しくはこちらの厚生労働省の記事もご参照ください。

新しく入社したかたへの研修でも、フレックスタイム制のルールを丁寧に説明します。社内ポータルサイトなどに常時閲覧できる形で掲載しておくことも有効です。

ルールが全員に正しく共有されている状態をつくることで、無用な摩擦を防げます。定期的に運用の実態を確認し、必要に応じてガイドラインをアップデートしましょう。

労働時間の過不足に対する早期アラート制度

清算期間の終わりになってから、労働時間の超過や不足に気づくのでは遅すぎます。月の途中で定期的に労働時間を集計する仕組みをつくりましょう。

基準値を超えそうな働くかたへ、早期にアラートを出す運用が非常に効果的です。厚生労働省のガイドラインでも、適切な時間管理と健康障害防止が強く求められています。

管理者が週単位で稼働状況を確認し、業務量を調整する工夫をとり入れましょう。こうした取り組みが、過重労働や労働時間の不足を防ぐことにつながります。

【画像挿入推奨:システムのアラート通知を見て対応を協議するチームのイメージ画像】

具体的には、月の半ばで過不足時間が一定基準を超えた場合、本人と上司に通知を送ります。通知を受けた上司は、業務の割り振りを見直すなどの対策を講じます。

放置せずに早めの打つ手を講じることが、過重労働の防止と健康管理に役立ちます。組織全体で労働時間を意識するカルチャーを育てていくことが大切です。

過剰な長時間労働が続く場合は、産業医との連携や面接指導の手配も検討します。働くかたの健康管理を守る視点を、勤怠管理の中心に据えておきましょう。

専門家である社労士の視点:フレックスタイム制の勤怠管理と制度設計

専門家である社労士の視点から見ると、仕組みの形だけを整えても十分ではありません。フレックスタイム制の勤怠管理を健全におこなうには、制度設計の根幹を正しく整える必要があります。

どれほど優れたシステムを導入しても、元の労使協定に不備があれば意味がありません。法的有効性が問われ、トラブルに発展する危険性があります。

清算期間の設定や総労働時間の確定、清算方法の明記などは、最新の法律に合わせる必要があります。自社の実態に合った制度の見直しと現場での運用改善をセットで進めましょう。

特に、清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の行政への届け出が必須となります。届け出を怠ったまま運用すると、法的な保護を受けられなくなるため注意が必要です。

また、裁量労働制やフレックスタイム制などの異なる制度が混在する場合、管理が煩雑になります。それぞれの制度の適用対象や要件を明確に切り分けることが重要です。

就業規則の変更や労使協定の作成は、細かな法的要件を満たす必要があります。不安がある場合は専門家へご相談のうえ、自社に最適な運用方法を模索してください。

専門家のアドバイスを参考にしながら進めることで、労務トラブルを未然にふせぐことができます。働くかたが安心して力を発揮できる環境づくりをめざしていきましょう。

フレックスタイム制の勤怠管理に関するよくある質問

清算期間で労働時間が不足した場合、給与控除は可能ですか?

清算期間における総労働時間が法定の枠を下回った場合、不足した時間分の給与を控除することは可能です。ただし、翌月の総労働時間に不足分を上乗せして調整する方法を選ぶこともできます。

あらかじめ就業規則や賃金規程に、その取り扱いを明記しておくことが必要です。社内ルールがないまま自己判断で控除をおこなうと、トラブルの原因になります。

事前の規定整備を徹底し、明確な運用ルールをつくっておくことが大切です。不明な点がある場合は、専門家へご相談いただくことをおすすめします。

控除をおこなう際の計算式についても、働くかたにわかりやすく説明できる状態にしておきます。トラブルを回避するためには、事前の周知と合意が不可欠となります。

コアタイムに遅刻した場合はどのように取り扱えばよいですか?

コアタイムは必ず勤務しなければならない時間帯です。そのため、その時間に遅れた場合は就業規則に基づく処分の対象となり得ます。

ただし、フレックスタイム制では総労働時間で清算する仕組みになっています。遅刻した時間分をすぐに減給とするのではなく、清算期間内で調整するのが一般的です。

具体的な取り扱いについては、あらかじめ社内ルールとして明確に定めておきましょう。現場で混乱が起きないよう、周知徹底をおこなうことが重要です。

何度もコアタイムへの遅刻が続く場合は、労務管理上の指導をおこなう必要があります。制度の趣旨を正しく理解してもらい、規律ある運用を目指してください。

在宅勤務とフレックスタイム制を組み合わせる場合の注意点は?

在宅勤務と組み合わせる際は、始業や終業の打刻ルールを明確にすることがポイントです。私用による中抜け時間の取り扱いについても、事前に決めておく必要があります。

中抜け時間を労働時間から除外するのか、フレキシブルタイム内で調整するのかを明確にします。自己申告だけに頼らず、システムでの打刻などを活用する工夫が効果的です。

客観的な稼働状況を把握できる仕組みを整えることで、安心して運用できます。トラブルを防ぐためにも、ガイドラインの作成をおこないましょう。

通信環境のトラブルなどで打刻ができなかった場合の報告手順も定めておくと安心です。柔軟な働き方を支えるための配慮とルールの整備を両立させていきましょう。

まとめ

フレックスタイム制の勤怠管理は、自由な働き方を実現する一方で、適切な時間管理が欠かせません。クラウドシステムの導入や社内ルールの明確化など、具体的な工夫をとり入れることが成功の鍵です。

早期のアラート制度を活用し、トラブルを未然にふせぐ運用を心がけましょう。自社の状況に合わせた適切な管理方法を整え、健全な組織づくりを進めていってください。

フレックスタイム制の導入や運用上の労務課題についてお悩みの際は、専門家へのご相談がおすすめです。IT業界やスタートアップ企業の労務管理に強みを持つ社労士が、貴社の組織作りに寄り添ったサポートを提供いたします。東京都を中心としたご対応はもちろん、オンラインでの全国ご相談も承っておりますので、まずはお気軽にお話をお聞かせください。


社会保険労務士法人秋田国際人事総研
東京都千代田区神田佐久間町3-19
東邦沢口ビル5階
(アクセス)
JR秋葉原駅より徒歩7分
東京メトロ秋葉原駅より徒歩3分

↓↓↓↓↓フォームメールでのお問合せはこちら↓↓↓↓
https://akita-sr.com/contact/

サービス各種、ご対応させていただきます。
お気軽にご相談ください。

  • 社会保険アウトソーシング
  • 給与計算アウトソーシング
  • 労務相談顧問
  • 就業規則作成
  • KING OF TIMEの導入支援
  • 採用適性検査(CUBIC)
  • 労務監査(M&A・IPOなど)
  • 給与計算システム導入支援
  • 労働時間コンサルティング
  • 助成金申請
  • 外国人雇用
  • 社内研修講師
  • 業種別ソリューション
03-3862-5837 (営業時間 平日 9:00~17:00)
03-3862-5837 平日 9:00~17:00
土日祝・お盆・年末年始除く