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紙のタイムカードをやめるタイミングと移行の手順
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紙のタイムカードをやめるタイミングと移行の手順

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2026.10.10

月末のたびに紙のタイムカードを集めて手で集計するのは、本当に骨が折れますよね。やめたいと思いながらも、いつ切り替えるべきか迷うお気持ち、よく分かります。

一方で、準備が足りないまま切り替えると、現場が混乱したり、集計の誤りがかえって増えたりするおそれがあります。

この記事では、切り替えを考える目安と、無理のない移行の手順を、人事責任者の方に向けて整理します。


なぜ今、紙のタイムカードの見直しが課題になるのか

労働時間の把握に求められる水準が上がっている

結論からお伝えすると、紙のタイムカードを使い続けること自体が、法令上の問題になるわけではありません。

厚生労働省のガイドラインは、使用者が始業・終業時刻を確認し、記録することを求めています。その方法として、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を挙げています。

つまり、紙の打刻も客観的な記録の一つです。詳しくは厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」をご確認ください。

ただし、求められる管理の水準は上がっています。労働安全衛生法は、労働時間の状況の把握を会社に求めています。対象は、高度プロフェッショナル制度の対象者を除くすべての労働者です。

管理監督者や裁量労働制の対象者も含まれるため、打刻の対象が広がった会社も多いのではないでしょうか。

集計と保存の負担が年々重くなっている

もう一つの理由は、集計と保存にかかる手間です。

時間外労働の上限規制に対応するには、月の途中で残業時間の累計を確かめる必要があります。紙のタイムカードでは、月末に集計するまで数字が分からない状況になりがちです。

保存の負担もあります。労働時間の記録に関する書類の保存期間は、労働基準法の改正で5年に延長されました。経過措置として、当分の間は3年とされています。

人数が増えるほど保管場所が必要になり、過去の記録を探す時間も長くなります。


紙のタイムカードを使い続けるときの落とし穴

月末まで残業時間が見えない

一つ目の落とし穴は、問題に気づくのが遅れることです。

紙のタイムカードの打刻は、集計して初めて数字になります。そのため、36協定の時間を超えそうな社員がいても、月が終わるまで分からないことがあります。

打刻漏れや、手書きでの修正が多い職場では、記録の信頼性も下がります。誰が、いつ、どの理由で修正したのかが残りにくいためです。

手集計の端数処理と転記ミス

二つ目は、集計のルールと計算の誤りです。

1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を支払わない扱いがあります。厚生労働省は、この扱いが労働基準法違反になると示しています。

一方、1か月の時間外労働などの合計に端数がある場合の処理は、別に示されています。30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる処理は認められています。詳しくは厚生労働省のリーフレット「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」をご確認ください。

ここで、よくある状況をもとにしたモデルケースを紹介します。

従業員40名ほどの会社で、担当者が毎月、打刻を15分単位にそろえて表計算ソフトに入力していました。前任者から引き継いだ方法で、切り捨てになっていることに誰も気づいていませんでした。

システムへの移行を検討する中でこのルールが見つかり、集計方法を1分単位に改めました。このように、移行の準備は、これまでの運用を点検する機会にもなります。


やめるタイミングの目安と移行の手順

切り替えを検討したいサインと選択肢の比較

切り替えの時期に、法令で決まった基準はありません。次のようなサインが重なってきたら、検討を始める目安になります。

  • 集計と確認に、毎月まる1日以上かかっている
  • 打刻漏れや手書きの修正が、毎月くり返し発生している
  • 月の途中で残業時間を確かめたい場面が増えた
  • テレワークや直行直帰など、事業場の外で働く人が増えた
  • 拠点や勤務形態が増え、締め作業が担当者ひとりに偏っている

判断に迷うときは、下の表で自社の状況を当てはめてみてください。

観点紙のままでも運用しやすい状況移行を検討したい状況
人数と拠点少人数で、拠点が1か所人数が増えた、拠点が複数ある
勤務形態全員が同じ時間帯で働くシフト制、変形労働時間制、フレックスタイム制がある
働く場所全員が事業場に出勤するテレワークや直行直帰がある
残業の状況残業がほとんどない月の途中で累計を確かめたい
集計の体制短時間で終わり、確認者もいる担当者ひとりに頼っている

費用を比べるときは、システムの利用料だけを見ないことが大切です。集計、確認、修正にかかっている時間と、用紙や保管にかかる費用も並べて考えます。

打刻の方法には、ICカード、パソコン、スマートフォンなどがあります。働く場所と勤務形態に合うかどうかを軸に選ぶと、導入後の手戻りが少なくなります。

移行は6つの段階で進める

移行は、次の順番で進めると混乱が少なくなります。

  1. 現状の棚卸し:勤務形態、締め日、集計のルール、手当の計算方法を書き出す
  2. 規程との照合:就業規則、労使協定と、実際の運用が合っているかを確かめる
  3. 打刻方法の選定:職種や働く場所ごとに、無理なく打刻できる方法を決める
  4. 設定とテスト:過去1か月分の勤務を入力し、これまでの集計結果と比べる
  5. 並行運用:紙とシステムの両方で記録し、差が出た原因を確かめる
  6. 本番への切り替え:社員への説明、打刻漏れの申請ルールの周知、紙の記録の保管を行う

とくに大切なのは、2の規程との照合です。紙の運用で慣習になっていたルールを、そのまま設定に移すと、誤りも引き継いでしまいます。

並行運用の期間も省かないでください。給与の締めを1〜2回経験すると、設定の漏れや現場の疑問が見えてきます。


専門家である社労士の視点

勤怠システムは、設定されたとおりに計算する道具です。設定が就業規則や労使協定と合っていなければ、割増賃金の計算に影響するおそれがあります。

自社で対応できる範囲と、専門家に相談したほうがよい場面を分けて考えてみましょう。

自社で対応しやすい範囲

  • 固定の勤務時間で働く社員が中心で、残業の計算方法が単純である
  • 打刻方法の選定、社員への説明、並行運用の進行管理
  • 紙の記録の整理と保管場所の確保

専門家に相談したほうがよい場面

  • 変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制のいずれかを導入している
  • 固定残業代があり、超過分の計算方法を確かめたい
  • 就業規則と実際の運用が合っていない部分が見つかった
  • これまでの端数処理や集計ルールが適切だったか不安がある

とくに後者は、移行の前に整理しておくと安心です。労働時間制度の見直しについては、労働時間制度のコンサルティングのページで支援内容をご確認いただけます。

勤怠システムの設定と就業規則の関係については、詳しくはこちらの記事もご参照ください。

【画像挿入推奨:人事責任者と社労士が就業規則と設定内容を照らし合わせているイメージ画像】


よくある質問(FAQ)

紙のタイムカードを使い続けると、法令上の問題がありますか

紙で記録していること自体が、問題になるわけではありません。厚生労働省のガイドラインは、タイムカードを客観的な記録の一つとして挙げています。

大切なのは、始業・終業時刻が正しく記録され、その記録にもとづいて賃金が支払われているかどうかです。打刻後に仕事を続けているなど、記録と実態が離れている場合は、方法を問わず見直しが必要です。個別の状況は専門家へご相談ください。

移行したあと、これまでの紙の記録は処分してよいですか

保存期間が過ぎるまでは、処分せずに保管してください。労働時間の記録に関する書類の保存期間は5年で、当分の間は3年とされています。

システムに切り替えても、切り替え前の期間は紙の記録が保存の対象です。年度や月ごとに整理し、求められたときにすぐ取り出せる状態にしておくと安心です。保存の起算日など判断に迷う点は、専門家へご相談ください。

並行運用はどのくらいの期間が必要ですか

法令で決まった期間はありませんが、給与の締めを1〜2回経験できる期間が一つの目安です。1回目で設定の漏れや打刻のしにくさが見つかり、2回目で修正の結果を確かめられます。

勤務形態が多い会社や、繁忙期と閑散期の差が大きい会社は、長めにとると安心です。並行運用の間は、紙の記録を正として給与を計算すると決めておくと、混乱を避けやすくなります。


まとめ:紙のタイムカードは準備を整えてから切り替える

紙のタイムカードをやめる時期に、決まった正解はありません。集計の負担、勤務形態の広がり、残業を月の途中で確かめる必要性が、判断の軸になります。

移行するときは、現状の棚卸しと規程との照合から始めてください。並行運用で差を確かめてから切り替えると、給与計算への影響を抑えやすくなります。

システムに替えることが目的ではありません。労働時間を正しく把握し、正しく賃金を支払える状態をつくることが、移行の本当の目的です。

社会保険労務士法人秋田国際人事総研では、就業規則や労使協定との照合、労働時間制度の見直しをお手伝いしています。支援の内容は、労働時間制度のコンサルティングのページでご確認ください。自社に合う進め方は、無料相談でご相談いただけます。

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