給与ソフト比較|freee・マネーフォワード・弥生の選び方
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給与計算
2026.10.20
初めて社員を採用するときに、給与計算をどうするか迷いますよね。候補が多くて決めきれないお気持ち、よく分かります。
給与ソフトは、freee、マネーフォワード、弥生などから選べます。ただ、機能表だけで決めると、導入後に設定や運用でつまずくことがあります。
この記事では、スタートアップの経営者に向けて、給与ソフトを比べるときの観点と、導入前に整えておきたいルールを解説します。
なぜ今、スタートアップに給与ソフトの見直しが必要なのか
創業期は、経営者や経理担当が表計算ソフトで給与を計算している会社も多いです。社員が数名のうちは回っても、採用が進むと手作業では追いつかなくなります。
社員が増えるほど計算と手続きが複雑になる
社員が増えると、給与計算で扱う項目が一気に増えます。代表的なものは次のとおりです。
- 社会保険料と雇用保険料の控除
- 所得税の源泉徴収と住民税の特別徴収
- 残業や深夜労働の割増賃金
- 入社や退職、昇給にともなう月の途中の変更
- 年末調整
これらを手作業で続けると、計算の誤りや作業の抜けが起きやすくなります。保険料率や税制の改正にも、毎回自分たちで対応しなければなりません。
ソフトを導入すれば、料率の改定などはソフト側で更新されるのが一般的です。担当者は、自社の設定と入力の確認に集中できます。
給与の誤りは社員の信頼に直結する
給与は、社員にとってもっとも身近な労働条件です。金額の誤りや支払いの遅れは、会社への信頼を大きく損ないます。
労働基準法では、賃金の支払いについて5つの原則が定められています。通貨で、直接本人に、全額を、毎月1回以上、一定の期日に支払うというものです。
口座振込みや給与のデジタル払いには、本人の同意などの条件があります。詳しくは厚生労働省の「月例賃金や賞与・退職金の支払方などは、労基法等で規制されているのでしょうか?」をご確認ください。

ソフト選びで起きやすい2つの落とし穴
ソフトを選ぶ段階より、選んだあとの設定で問題が起きることが多いです。ここでは、スタートアップで特に起きやすい落とし穴を見ていきます。
機能や知名度だけで選んでしまう
候補によく挙がるのは、freee人事労務、マネーフォワード クラウド給与、弥生給与 Nextです。いずれもクラウドで使える給与計算のサービスです。どれも基本的な給与計算や明細の発行に対応しています。
そのため、「どれが一番よいか」ではなく、自社の業務の流れに合うかで選ぶことが大切です。たとえば、すでに使っている会計ソフトや勤怠システムとの連携は、日々の手間に大きく影響します。
機能やプランの内容は、各社の公式サイトで最新の情報を確認しましょう。無料の試用期間があれば、実際の給与データで試すと違いが分かりやすくなります。
社内のルールが決まらないまま設定する
給与ソフトは、入力されたルールどおりに計算する道具です。社内のルールが曖昧なままでは、正しい設定ができません。
よくある状況をもとにしたモデルケースで考えてみます。社員8名のIT系スタートアップが、創業者の判断でソフトを導入しました。ところが、固定残業代の時間数が雇用契約書ごとに違い、設定がばらばらになりました。
固定残業代を設けている場合、想定した時間を超えた残業には差額の支払いが必要です。設定を誤ると、割増賃金の未払いにつながるおそれがあります。
給与ソフトの選び方と実務対応のポイント
選び方の観点と、導入前に決めるべきルールを分けて整理すると、検討が進めやすくなります。
比べるときに確認したい5つの観点
製品の優劣ではなく、自社に合うかどうかを見るための観点を表にまとめました。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 連携 | 会計ソフトや勤怠システムとデータを連携できるか |
| 対応範囲 | 年末調整や社会保険の手続きまで1つで扱えるか |
| 拡張性 | 社員が数十名に増えても同じ運用を続けられるか |
| 操作性 | 経理の専任者がいなくても迷わず使えるか |
| 支援体制 | 問い合わせの方法や、改正時の案内があるか |
費用は、月々の利用料だけで比べないことがポイントです。担当者が毎月かける時間や、誤りを直す手間も含めて考えると、判断を誤りにくくなります。
給与明細を電子で交付する場合は、所得税法上、社員の承諾が必要とされています。導入時に、承諾の取り方も決めておきましょう。
導入前に決めておきたい社内のルール
ソフトの設定に入る前に、次の内容を決めて書面にしておくと安心です。
- 給与の締日と支払日
- 基本給と手当の種類、それぞれの支給条件
- 固定残業代の有無と、対象となる時間数
- 欠勤や遅刻をしたときの控除の方法
- 勤怠データを集める方法と締めの期限
これらは、就業規則や賃金規程、雇用契約書の内容と一致している必要があります。規程とソフトの設定が食い違うと、どちらが正しいのか説明できなくなります。
割増賃金の率も、設定で確認したい項目です。法律で定められた主な率は、次のとおりです。
| 区分 | 割増賃金の率 |
|---|---|
| 時間外労働 | 25%以上 |
| 時間外労働のうち月60時間を超える部分 | 50%以上 |
| 深夜労働(午後10時から午前5時) | 25%以上 |
| 法定休日の労働 | 35%以上 |
ソフトの初期値が、自社の規程で定めた率と合っているかを確かめましょう。
また、賃金台帳などの書類は保存が必要です。保存期間は5年で、当分の間は3年とされています。詳しくは厚生労働省の「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」をご確認ください。

専門家である社労士の視点
給与ソフトの導入でもっとも大切なのは、ソフトそのものより、その前提となる社内のルールです。ルールが整っていれば、どのソフトを選んでも運用は安定しやすくなります。
自社で対応できる範囲と、専門家に相談したほうがよい場面の目安は次のとおりです。
| 自社で対応しやすい範囲 | 専門家に相談したほうがよい場面 |
|---|---|
| 社員情報や口座の登録 | 固定残業代や手当の設計を決めるとき |
| 毎月の勤怠データの取り込み | 就業規則や賃金規程がまだないとき |
| 明細の発行と配布 | 規程とソフトの設定が合っているか点検したいとき |
| 料率改定の確認 | 給与計算そのものの外注を検討するとき |
スタートアップでは、急な採用で社員が短期間に増えることがあります。早い段階で賃金のルールを整えておくと、急成長期のトラブルの予防につながります。
スタートアップ向けの支援内容は、スタートアップ向けのサービスページでご確認いただけます。給与計算のアウトソーシングとの比べ方については、こちらの記事もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 社員が数名のうちから給与ソフトを導入したほうがよいですか?
早めの導入をおすすめします。社員が少ないうちに設定しておくと、採用が進んだときもそのまま運用を続けられます。また、初めは計算の結果を手作業と見比べて確認する余裕もあります。ただし、ソフトを入れる前に、締日や支払日、手当の条件などのルールを決めておくことが前提です。ルールが固まっていない場合は、先に規程の整備から進めましょう。
Q2. 会計ソフトと同じ会社の製品を選んだほうがよいですか?
連携のしやすさを重視するなら、検討する価値があります。同じ会社の製品どうしは、仕訳の連携などの手間が少なくなる場合があります。一方で、勤怠システムとの連携や、担当者の使いやすさも同じくらい大切です。会計ソフトの会社だけで決めず、この記事の5つの観点に沿って比べることをおすすめします。試用期間で実際のデータを入れてみると判断しやすくなります。
Q3. ソフトを入れれば、労務の知識がなくても給与計算できますか?
計算の作業は楽になりますが、知識が不要になるわけではありません。ソフトは、入力された設定どおりに計算します。手当を割増賃金の計算に含めるかどうかなど、設定には労務の判断が必要な項目があります。設定を誤ったまま運用すると、未払いが続くおそれもあります。初期設定の段階で、専門家に点検してもらうと安心です。
まとめ
給与ソフトは、製品の知名度ではなく、自社の業務の流れに合うかどうかで選ぶことが大切です。
- 連携、対応範囲、拡張性、操作性、支援体制の5つの観点で比べる
- 費用は利用料だけでなく、担当者の手間も含めて考える
- 導入前に、締日や手当、固定残業代などの社内のルールを決める
- 就業規則や賃金規程とソフトの設定をそろえる
ルールを整えたうえで給与ソフトを選べば、急成長期にも安定した給与計算を続けやすくなります。
給与ソフトの選び方や、導入前の規程の整備については、スタートアップ向けのサービスページで支援内容をご確認ください。自社に合う方法を知りたい場合は、無料相談でお気軽にご相談いただけます。
【免責事項】
本記事は、2026年10月時点の法令および公的機関の公表情報にもとづき、一般的な情報の提供を目的として作成しています。
法改正や通達の変更などにより、内容が最新の取扱いと異なる場合があります。
個別の事案への当てはめは、会社の状況によって結論が変わります。実際の対応にあたっては、専門家へご相談ください。
本記事の情報を利用した結果について、当法人は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
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