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ホテルの人手不足、時給を上げても人が来ない本当の理由
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ホテルの人手不足、時給を上げても人が来ない本当の理由

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2026.10.23

求人の時給を上げたのに、応募がほとんど来ない。そんな状況に、頭を抱えていらっしゃる方も多いですよね。

ホテルの人手不足は、時給だけで解決しにくい段階に入っています。応募者は時給と同じくらい、働き方の見通しや職場への信頼を見ているためです。

この記事では、時給アップが効かない理由と、選ばれるホテルに近づく実務のポイントを解説します。


なぜ今、ホテルの人手不足は時給だけでは解決しないのか

結論から言うと、時給の差がつきにくくなり、求職者の比べ方が変わってきたからです。まずは、ホテルの人手不足を取り巻く環境を整理します。

最低賃金の引上げで、時給の差がつきにくくなっている

令和8年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円の答申となりました。昨年度からの引上げ額は56円です。

改定後の額は、10月1日から12月2日までの間に、都道府県ごとに順次発効します。詳しくは厚生労働省の「令和8年度最低賃金額答申」をご確認ください。

最低賃金が毎年上がると、周りの求人も同じように時給を上げます。その結果、自社だけが時給を上げても、求人の中で目立ちにくい状況が生まれます。

求職者が見ているのは「働き方の見通し」

求人を比べるとき、求職者は時給の数字だけで決めているわけではありません。たとえば、次のような点も気にしています。

  • 毎月どのくらい働けて、いくら受け取れそうか
  • シフトがいつ決まり、急に変わることはないか
  • 深夜や土日に働いたとき、手当はどう付くのか
  • 長く働いたら、時給や待遇は上がっていくのか

こうした点が求人票から読み取れないと、時給が高くても応募をためらいます。時給は入口にすぎず、決め手は「安心して働けそうか」という点にあります。


時給アップの効果を打ち消す、よくある落とし穴

ここでは、ホテルの現場で起きやすい落とし穴を2つ取り上げます。どちらも、時給を上げても応募や定着につながらない原因になりやすいものです。

シフトが直前まで決まらない、急に削られる

ホテルは稼働率によって必要な人数が大きく変わります。そのため、シフトが直前まで決まらなかったり、閑散期に急に削られたりしがちです。この不安定さが、ホテルの人手不足を深める一因にもなっています。

働く側から見ると、これは収入の見通しが立たないことを意味します。いったん「月にいくら稼げるか分からない職場」と受け止められると、時給を上げても人は集まりにくくなります。

厚生労働省は、シフト制で働く方の雇用管理について留意事項をまとめています。労働条件通知書に「シフトによる」とだけ書くのでは不十分とされている点など、ホテルにも関わる内容です。

詳しくは厚生労働省の「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」をご確認ください。

手当や割増賃金の仕組みが分かりにくい

夜勤や中抜けのあるホテルでは、賃金の仕組みが複雑になりがちです。深夜割増や手当の付き方が説明されないと、働く方は給与明細を見ても納得できません。

22時から翌5時までの深夜労働には、25%以上の割増賃金が必要です。こうした基本のルールが給与計算に正しく反映されていないと、未払いのトラブルにつながるおそれがあります。

求人の段階でも注意が必要です。固定残業代を含める場合は、その時間数や金額、超えた分を追加で支払う旨を示すことが求められています。

下の表は、求職者が気にする点と、ホテルでよく見られる状態を整理したものです。

求職者が気にする点ホテルでよく見られる状態見直しの方向
月の収入の見通しシフトが直前まで決まらない提出と確定の期限を決めて伝える
シフトの安定閑散期に急に削られる変更の手順をルールにする
手当の分かりやすさ深夜や中抜けの扱いがあいまい賃金規程と求人票で明示する
将来の待遇昇給の基準がない昇給や登用の道筋を示す

時給以外で「選ばれるホテル」になる実務対応

ホテルの人手不足を和らげる方向は、働き方の見通しと賃金の分かりやすさを、制度として整えることです。ここでは2つのポイントを紹介します。

シフトのルールを決め、書面と就業規則にそろえる

まず、シフトの決め方をルールにして、働く方に伝えます。具体的には、次のような項目を決めておくと安心につながります。

  • シフト希望の提出期限と、シフトを確定して知らせる時期
  • 確定したシフトを変更するときの手順と、本人の同意の取り方
  • 1か月あたりの目安となる勤務日数や時間数
  • 繁忙期と閑散期で勤務を調整する場合の考え方

決めたルールは、労働条件通知書と就業規則の内容とそろえることが大切です。1か月単位の変形労働時間制を使う場合は、就業規則などで定めたうえで運用する必要があります。

なお、確定したシフトを会社の都合で減らした場合、休業手当の支払いが必要になる場合があります。シフトの扱いは、あらかじめ明確にしておきましょう。

賃金制度を「上がる道筋」が見える形に整える

時給を一律に上げるだけでなく、長く働くほど待遇が上がる道筋を示すことも効果的です。たとえば、勤続期間やできる業務の幅に応じた昇給の基準を設ける方法があります。

フロントと客室清掃の両方を担える方に手当を付けるなど、ホテルならではの工夫も考えられます。正社員への登用の基準を示すことも、将来の見通しにつながります。

よくある状況をもとにしたモデルケースを紹介します。ある都市型ホテルは、時給を上げても応募が増えませんでした。そこで、シフトの確定時期と昇給の基準を求人票に書いたところ、面接で「安心できた」という声が聞かれるようになりました。


専門家である社労士の視点

ホテルの人手不足の相談では、「時給をいくらにすべきか」から話が始まることが少なくありません。ですが、実際に見直しが必要なのは、シフトや賃金のルールであることが多いです。

自社で対応できる範囲と、専門家に相談したほうがよい場面の目安は次のとおりです。

自社で対応できる範囲専門家に相談したほうがよい場面
求人票に勤務の目安や手当を書き足す変形労働時間制を新たに導入する
シフトの提出期限を決めて周知する就業規則や賃金規程を改定する
面接で働き方の見通しを説明する深夜割増や手当の計算に不安がある
スタッフに働きやすさを聞き取るシフト削減をめぐって不満が出ている

制度の変更は、就業規則の変更手続きや、従業員への説明が必要になる場合があります。ルールと実際の運用がずれていると、かえってトラブルの原因になりやすいため、早めの点検をおすすめします。宿泊業での支援の内容は、宿泊業向けサービスのページにまとめています。

【画像挿入推奨:社労士とホテルの人事責任者が打ち合わせをするイメージ画像】


よくある質問(FAQ)

時給をこれ以上上げなくても、人は集まりますか?

時給以外の条件を整えることで、応募が増える場合があります。ただし、最低賃金を下回らないことが大前提です。そのうえで、シフトの確定時期や月の勤務の目安、手当の付き方を求人票で具体的に示しましょう。求職者が「ここなら安心して働けそう」と感じられる情報を増やすことが大切です。どの程度の効果が出るかは、地域や職種によって変わります。

シフト制でも、労働条件通知書に書くべきことはありますか?

はい、あります。始業と終業の時刻や休日は、書面で明示する必要があります。厚生労働省の留意事項では、「シフトによる」とだけ書くのでは不十分とされています。基本の勤務パターンを示し、あわせて最初のシフト表を渡すなどの対応が考えられます。シフトの決め方や変更の手順も書いておくと、働く方の安心につながります。

閑散期にシフトを減らすのは問題になりますか?

確定前のシフトを調整すること自体は、直ちに問題になるわけではありません。一方で、確定したシフトを会社の都合で減らすと、休業手当の支払いが必要になる場合があります。閑散期の勤務の減らし方は、あらかじめルールにして説明しておくことが大切です。個別の扱いは状況によって変わるため、判断に迷う場合は専門家へご相談ください。


まとめ

ホテルの人手不足は、時給を上げるだけでは解決しにくくなっています。求職者は時給と同じくらい、働き方の見通しや賃金の分かりやすさを見ているためです。

  • シフトの提出と確定の時期、変更の手順をルールにする
  • 労働条件通知書と就業規則の内容をそろえる
  • 深夜割増や手当の仕組みを、求人票と賃金規程で明確にする
  • 昇給や正社員登用の道筋を示す

できるところから見直すことで、時給だけに頼らない採用と定着につながります。

ホテルの人手不足に悩む宿泊業の方に向けて、就業規則や賃金規程、シフト運用の見直しを支援しています。関連する記事とあわせて、宿泊業向けサービスのページで支援内容をご確認ください。自社の状況に合う進め方を知りたい場合は、無料相談もお気軽にご利用ください。

【免責事項】
本記事は、2026年10月時点の法令および公的機関の公表情報にもとづき、一般的な情報の提供を目的として作成しています。
法改正や通達の変更などにより、内容が最新の取扱いと異なる場合があります。
個別の事案への当てはめは、会社の状況によって結論が変わります。実際の対応にあたっては、専門家へご相談ください。
本記事の情報を利用した結果について、当法人は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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