フレックスタイム制で社員が欠勤したら?固定残業代との関係を解説
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2026.03.04
たとえば、1日の標準労働時間が8時間・所定労働日が22日の月であれば、清算期間の総所定労働時間は176時間です。清算期間の終了時に実労働時間がこの176時間を満たしているかどうかで、過不足を精算するのが原則です。
フレックスタイム制を導入している企業から、「社員が所定労働日に丸一日休んだ場合、どう処理すればいいのか?」というご相談をいただくことがあります。特に固定残業代(みなし残業代)を併用しているケースでは、控除の考え方が複雑になりがちです。今回は、フレックスタイム制における欠勤控除の考え方を整理します。
1.そもそもフレックスタイム制の労働時間管理とは
フレックスタイム制では、1日単位ではなく清算期間(通常1ヶ月)の総労働時間で労働時間を管理します。
たとえば、1日の標準労働時間が8時間・所定労働日が22日の月であれば、清算期間の総所定労働時間は176時間です。清算期間の終了時に実労働時間がこの176時間を満たしているかどうかで、過不足を精算するのが原則です。
2.終日欠勤した場合、どう控除する?
ここで問題になるのが、所定労働日にまったく出勤しなかった(終日不就労)場合の取り扱いです。
考え方は大きく二つあります。
考え方① 清算期間全体で精算する(原則論)
フレックスタイム制の趣旨に忠実に従えば、労働時間の過不足は清算期間の終了時に判断します。1日欠勤しても、清算期間全体で総所定労働時間を満たしていれば控除しない、という考え方です。
考え方② 終日不就労は1日単位で控除する(実務的な考え方)
所定労働日に終日出勤しなかった場合は、清算期間の過不足精算とは別に、1日の標準労働時間分(例:8時間分)を欠勤控除するという考え方です。
実務上は「考え方②」が有力
フレックスタイム制が労働者に委ねているのは、あくまで始業・終業時刻の決定です(労基法32条の3)。「何時に出退勤するか」の裁量であり、「出勤するかしないか」の裁量ではありません。
つまり、所定労働日に終日出勤しないことはフレックスの裁量の範囲外であり、通常の労務不提供(欠勤)として取り扱うことが可能です。
したがって、終日不就労の日については清算期間の実労働時間とは切り離し、標準労働時間を基準に欠勤控除することは合理的な取り扱いといえます。
3.固定残業代はどうなる?
固定残業代を導入している場合、欠勤があったときに「固定残業代も控除していいのか?」という疑問が生じます。
結論からいえば、固定残業代の控除には慎重な対応が必要です。
固定残業代は、実際に時間外労働が発生するか否かにかかわらず定額で支払われる手当です。欠勤によって実労働時間が所定労働時間を下回ったとしても、固定残業代をそのまま控除できるわけではありません。
控除の対象となるのは、原則として基本給部分(所定労働時間に対応する賃金)です。
4.就業規則の整備がカギ
上記の取り扱いを適切に行うためには、就業規則・賃金規程に明確な根拠を設けておくことが不可欠です。
具体的には、以下のような事項を定めておくことをお勧めします。
- 終日不就労の場合の欠勤控除ルール(「所定労働日に終日不就労の場合は、1日の標準労働時間分を欠勤控除する」等)
- 固定残業代の取り扱い(基本給と固定残業代の明確な区分、対応する時間外労働時間数、差額支給の定め)
- 遅刻・早退との区別(フレックスタイム制ではコアタイム違反を除き遅刻・早退の概念がなじまないため、終日不就労との区別を明記)
規程に根拠がなければ、原則論に戻り「清算期間全体で精算」となる可能性があるため注意が必要です。
