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特定技能と36協定について
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特定技能と36協定について

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2026.03.05

1.特定技能運用の根幹を成す労働基準法の遵守

特定技能制度を利用して人材を雇用する際、現場の運用において最も注意を払うべき事項の一つが労働時間管理です。

特に時間外・休日労働に関する労使協定、いわゆる「36協定(三六協定)」の遵守は、単なる労働基準法上の義務に留まらず、在留資格の維持や受入れ継続の可否に直結する極めて重要なコンプライアンス項目となります。

多くの受入先企業において、繁忙期の業務過多や人員配置の都合から、意図せず法定労働時間を超過してしまうケースが見受けられます。

しかし、特定技能制度においては、労働基準法違反が発覚した場合、受入先機関としての欠格事由に該当する恐れがあり、最悪のケースでは受入れ停止措置等の厳しい行政処分が下されるリスクを孕んでいます。

本記事では、36協定違反が特定技能の運用に及ぼす影響と、実務上の留意点について、社会保険労務士の視点から解説します。

2.36協定の締結・届出義務と特定技能制度の連動

労働基準法第32条では、労働時間は原則として「1日8時間、1週間40時間」までと定められています。
これを超えて労働させる場合には、労働基準法第36条に基づき、労使間で書面による協定を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。これが一般に36協定と呼ばれるものです。

特定技能制度における「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の規定では、受入先機関に対し、労働関係法令を遵守していることが厳格に求められます。

具体的には、特定技能基準省令において、受入先機関が過去5年以内に出入国または労働に関する法令に違反していないことが、受入れの欠格事由として定められています。

つまり、36協定を締結せずに残業を行わせることや協定で定めた延長時間を超過して労働させることは、即座に「労働基準法違反」となり、在留資格の更新拒否や、今後数年間にわたる新規受入れの禁止といった重大なペナルティに繋がる仕組みとなっています。

特に注意すべきは、36協定の「有効期間」です。

協定には必ず有効期間を定める必要があり、期間満了前に更新し、再度届け出を行う必要があります。届出を失念した状態で時間外労働を継続させた場合、その期間の残業はすべて違法労働とみなされます。特定技能制度を運用する企業においては、通常の日本人従業員以上に、この届出の「空白期間」を作らないための徹底した期日管理が求められます。

3.労働時間上限規制と「特別条項」の運用における注意点

働き方改革関連法の施行により、現在では36協定による時間外労働にも罰則付きの上限規制が設けられています。

原則として月45時間、年360時間が上限となりますが、臨時的な特別の事情がある場合に限り、「特別条項」を適用することでこれを超えることが可能です。

しかし、この特別条項を適用する場合でも、単月で100時間未満(休日労働含む)、2〜6ヶ月平均で80時間以内(休日労働含む)といった、いわゆる「過労死ライン」を意識した厳格な枠組みを遵守しなければなりません。

特定技能制度の運用現場では、受入先機関がこれらの複雑な上限規制を正確に把握できていないケースが散見されます。

例えば、特定の月に業務が集中し、休日労働を含めて100時間を1分でも超過してしまった場合、その時点で労働基準法違反が成立します。出入国在留管理局(入管)は、定期届出や実地検査等を通じて、賃金台帳や出勤簿を精査します。そこで36協定の上限超過が判明すれば、改善命令や受入れ環境の不備を指摘されることになります。

また、登録支援機関の立場からは、受入先機関に対してこれらの労働時間管理が適正に行われているかを確認する必要があります。

支援計画の実施状況確認において、労働基準法違反の疑いがある場合には、速やかに受入先へ是正を促すとともに、必要に応じて適切な指導を行うことが、支援機関自身の業務適正性を担保することにも繋がります。

4.違反発覚時の行政処分と受入れ継続への影響

万が一、労働基準監督署の調査等により36協定違反が指摘され、是正勧告を受けた場合、その事実は出入国在留管理局にも共有される可能性が高いと考えなければなりません。

特定技能の受入れ企業には、法令遵守に関する誓約書の提出が義務付けられており、虚偽の申告や重大な法令違反は、受入先機関の登録取り消し事由に該当します。

是正勧告を受けたにもかかわらず改善が見られない場合や、悪質な違反と判断された場合、受入先機関としての欠格期間(通常5年間)が設定されます。この期間内は、現在雇用している特定技能者の在留期間更新が認められなくなるだけでなく、他分野も含めた全ての特定技能者の新規受入れが不可能となります。これは事業継続において極めて大きな損失となります。

さらに、有料職業紹介事業者が人材を紹介している場合、紹介先企業でこのような法令違反が発生すると、紹介した人材の就労継続が困難になり、定着率の低下や紹介事業者としての信頼失墜を招きます。そのため、紹介段階から当該企業の36協定の締結状況や、過去の労働基準監督署による調査歴、労働時間管理の体制を社労士等の専門家を通じてチェックしておくことが、三者にとってのリスク回避に繋がります。

まとめ

特定技能制度における36協定違反は、単なる労務上のミスではなく、事業そのものの存続に関わる重大なコンプライアンス違反です。労働基準法を遵守し、適正な時間外労働の枠内で業務を運用することは、制度を利用する全ての企業に課せられた最低限のルールです。

労働時間の正確な把握、36協定の適時な届出、そして上限規制を意識したシフト管理を徹底し、制度の適正運用に努めることが肝要です。

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