勤怠不良社員への適切な対応ステップ~円満な解決と法的リスク回避のために~
IT企業
スタートアップ
プラットフォーム
病院・クリニック
美容業
製造業
就業規則作成
2026.03.22
職場において、遅刻、早退、無届欠勤といった「勤怠不良」を繰り返す社員の存在は、組織の生産性を低下させるだけでなく、周囲の社員の士気に深刻な悪影響を及ぼします。
しかし、感情的に即解雇といった重い処分を下すと、後に「解雇権の濫用」として法的に無効とされるリスクがあります。本日は、勤怠不良社員に対する実務上の対応方法をまとめます。
1.事実の正確な把握と記録
まずは、勤怠管理システムやタイムカードに基づき、客観的な事実(日時、回数、理由)を正確に記録することから始めます。単なる形式的な事実だけでなく、それが職場秩序をどの程度乱したかが重視されます。また、本人に対し、その都度理由を確認し、単なる怠慢なのか、あるいは健康上の問題や家庭の事情(介護など)が背景にあるのかを聴取することが不可欠です。
2.段階的な指導と「書面」の重要性
いきなり懲戒処分を行うのではなく、まずは口頭での注意・指導を行います。改善が見られない場合は、「書面による警告(警告書)」へ移行します。 実務上、口頭だけの注意では、後に紛争となった際に労働者側から「注意など受けていない」と主張される恐れがあり、会社側が指導実績を証明できず敗訴する危険性があります。メールや書面など、形に残る方法で「改善の機会を与えた事実」を積み重ねることが、後の法的な有効性を支えるポイントとなります。
3.懲戒処分の検討(軽度から重度へ)
指導を重ねても改善されない場合、就業規則に基づき懲戒処分を検討します。この際、最初から重い処分を選ぶのではなく、譴責(始末書の提出)や戒告といった軽い処分から段階的に進めていくのが「相当性の原則」にかなった対応です。 軽い処分を一度挟むことで、「次は解雇もあり得る」という最後通告的な意思を明確に伝える効果もあります。
4.背景にある原因(健康問題等)への配慮
勤怠不良の原因が精神疾患や体調不良に疑われる場合、会社は産業医による受診を勧めたり、休職制度の利用を検討したりする必要があります。 特にメンタルヘルスの問題が疑われる場合、まずは専門家の診断を仰ぎ、適切な休養を促すといった労働者の健康管理義務を果たす姿勢が求められます。
5.最終手段としての解雇と退職勧奨
あらゆる指導や軽い処分を尽くしても改善が期待できず、職場秩序の維持や生産性への支障が明白な場合に初めて、懲戒解雇や普通解雇が視野に入ります。重い処分であるため、その判断は極めて慎重に行う必要があります。 紛争化を避けるための有力な手段として、「退職勧奨」による合意解決も検討すべきです。これは解雇とは異なり、労働者の自由な意思に基づいて退職を勧めるものであり、円満な解決を図るうえで有効です。
勤怠不良を「ボヤ」のうちに消し止めるためには、初期段階での毅然とした指導と、それを裏付ける書面記録の蓄積が何よりも重要です。日頃の労務管理を的確に行うことが、企業の秩序維持と健全な発展につながります。


