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IT企業向けチャットツール就業規則の記載項目リスト
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IT企業向けチャットツール就業規則の記載項目リスト

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2026.07.15

社内での連絡に、スラックなどの道具をつかうことがあたりまえになりましたよね。でも、使い方をめぐる問題がここ最近増えています。

トラブルを防ぐため、IT企業チャットツールを入れるさいの、就業規則への記載がかかせません。本記事では、実務にやくだつチェックリストをやさしく解説します。

1. なぜ今IT企業チャットツール就業規則の整備が重要なのか

手軽だからこそおきてしまう人間関係のトラブル

チャットツールはとても便利ですボタン一つで、簡単にメッセージを送ることができます。しかし、その手軽さゆえに、相手にたいする配慮が欠けがちになります。

たとえば、感情的な言葉をそのまま送信してしまうことがあります。これにより、受け取った従業員が深く傷ついてしまいます。

結果として、パワーハラスメントへ発展することも少なくありません。このような、社内におけるトラブルを防ぐために、あらかじめルールを決めておくことが重要なのです。

だらだらとした連絡による労働時間の増加

いつでも、どこからでも連絡がとれることは、便利ですがリスクもあります。業務時間のあとにも、連絡が届きやすくなるからです。

「すぐに返事をしなければいけない」と、従業員が焦ってしまうこともあります。この焦りは、心身の疲労につながります。

さらに、夜遅くの返信が、労働時間とみなされることもあります。これによって、未払いの残業代の争いにつながるのです。そのため、連絡をおくってよい時間などの線引きが、どうしても必要になります。

リモートワークにおける連絡のあいまさ

IT企業では、自宅で作業をおこなうリモートワークが多く取り入れられています。これは従業員にとって、とても働きやすい素晴らしい仕組みです。しかし、この自由さがあるからこそ、チャットツールのつかいかたが難しくなります。

「いつでも連絡してよい」「いつでも仕事ができる」という状態になりやすいからです。夜中の遅い時間にエンジニアがメッセージを送信したとします。これを受け取った別の従業員が、対応しなければいけないと感じてしまうことがあります。

このような状態が続くと、従業員の健康が損なわれてしまいます。さらに、労働時間の管理ができていないとして、行政から指導をうけるリスクもあります。そのため、就業規則をしっかりと整えることがひつようなのです。

2. チャットツールをめぐる具体的な課題と落とし穴

ハラスメントとプライバシーのあいまいな境界線

チャットツールには、全員にみえる場所と、特定の人だけがみえる場所があります。個人に直接メッセージを、頻繁に送ることができます。

これによって、まわりの目が届かないところで、嫌がらせがおこなわれる危険があります。「仕事の連絡だから」と言い訳されることもあります。

しかし、内容はプライベートにおよぶ、執拗な質問であることも多いのです。このように、仕事とプライベートの境界が、曖昧になりがちです。この問題を放置することは、会社にとって大きな法的リスクとなります。

スタンプによる嫌がらせの問題

チャットツールには、さまざまな感情を表現するスタンプがあります。これは、文字だけの冷たい印象を和らげるのに、とても便利です。しかし、スタンプの使い方一つで、不快に感じる人がいることも事実です。

たとえば、業務の指示にたいして「泣いている顔」や「怒っている顔」を何度も送る行為です。これらは、受け取り方によっては嫌がらせとみなされることがあります。「言葉で直接言っていないから大丈夫」という甘い考えは、トラブルのもとになります。

スタンプのやりとりについても、お互いを尊重しあうマナーが必要になります。

情報漏洩とセキュリティの弱さ

データの共有がとても簡単におこなえることも、大きな課題となります。機密情報を、簡単にファイルとして送信できてしまうからです。もし、個人がもつ私用のスマートフォンでの閲覧をみとめていると危険です。

そのスマートフォンを紛失したときに、情報がすべて外に漏れてしまいます。特に、スタートアップでは、ルール整備が遅れがちです。ルールのないまま、重要なデータがやりとりされることで、大問題に発展することがあります。

退職した従業員のアカウントが残っている恐怖

もう一つの落とし穴は、会社をやめた従業員のアカウント管理です。退職したあとも、チャットツールのアカウントがそのまま残っていることがあります。

これを放置していると、やめた従業員が会社の重要な情報を見ることができます。これは、重大な情報漏洩の事故につながります。

会社の信用を大きく失う原因になり、事業の継続が難しくなることさえあります。アカウントの停止や削除は、退職の手続きとセットでおこなう仕組みが必要です。

3. トラブルを防ぐ解決策と実務対応のポイント

ツールの利用規約を明確にする

解決への第一歩は、ツールの利用に関する約束事を、はっきりと文書にすることです。「このツールは、仕事の連絡のためだけに使うもの」と、はっきり定めます。さらに、私的なやりとりや、会社の不利益になる書き込みを禁止事項として挙げます。

これらを、就業規則の「遵守事項」として記載します。ルールを明記しておくことで、違反があったときに注意しやすくなります。

また、必要に応じて、適切な懲戒処分をおこなうことも可能になります。

就業規則に追加する文章の例

就業規則に追加する文章の例を、いくつか挙げてみます。「従業員は、会社が指定したチャットツールを業務の目的のみに使用しなければならない。」「私的なやりとりや、他者を誹謗中傷する発言はおこなってはならない。」

このような、一見あたりまえに思える文章を、きちんと言葉にしておくことが大切です。

あたりまえのルールだからこそ、書いていないと「そんなルールは知らなかった」と言い訳されてしまいます。会社の姿勢をはっきりと示すためにも、文章にして残すことが重要です。

メッセージをやりとりする時間帯の制限と返信義務の解除

次に、連絡をおくる時間帯についての制限を設けることが効果的です。「夜の22時以降は、メッセージの送信を原則として禁止する」といったきまりです。

さらに、休日に届いた連絡には、返信しなくてよいと定めます。返信義務がないことをはっきりさせるだけで、従業員は安心して休むことができます。

これは、働く環境の改善につながり、採用活動における大きな強み(魅力)となります。

特に優秀なエンジニアの採用や定着率の向上に役立ちます。

エンジニアの採用と定着率に好影響をあたえる

チャットツールのルールを整えることは、従業員の採用や定着にも良い影響をあたえます。特に、優秀なエンジニアは、プライベート(私生活)と仕事の調和を重視する傾向があります。

「この会社は、夜間の連絡に返信しなくてよいルールがある」と分かれば、安心して応募できます。逆に、24時間いつでも連絡が飛び交う会社は、定着率が低くなってしまいます。

従業員が心身ともに健康で長く活躍できる環境をつくるために、就業規則を整えることは投資とも言えるのです。

4. IT企業に詳しい社労士の視点からみたポイント

多くのIT企業では、リモートワークを導入しています。また、フレックスタイム制も一般的です。

このような柔軟な働き方においては、労働時間の管理が特に難しくなります。「ただチャットアプリを開いているだけ」の時間が、働く時間とみなされる恐れもあります。ですから、システム上の記録と実際の労働時間の関係を、ルール化しておくことが必要です。

労務管理が後回しになると、大きなトラブルを招きます。成長段階にあるスタートアップほど、最初のルールづくりが大切です。就業規則を整えることは、従業員を守り、会社を育てることにつながります。

5. チャットツールの利用ルールにおける就業規則チェックリスト

就業規則を変更するときに、おさえるべき項目を表にまとめました。

チェック項目具体的な内容目的
利用目的のルール仕事(業務上のコミュニケーション)にかぎること私的利用の防止と、セキュリティの確保
禁止事項の定め悪口や誹謗中傷、機密データの社外持ち出し、私用のアカウント共有などハラスメント(嫌がらせ)防止と、漏洩の対策
時間外連絡のルール夜間(たとえば22時以降)や休日のメッセージ送信は原則として禁止する労働時間が不必要に増えることを防ぐ
返信の義務の解除労働時間ではないときの連絡にたいする返信は不要とすること従業員のプライベートの時間と健康を守る
端末の管理個人のスマートフォンやパソコンでの閲覧制限や、パスワード(暗証番号)の設定情報漏洩を防ぐ

上記の表をもとに、自社の状況と照らし合わせてみてください。

さらに、以下の3つのポイントについて、箇条書きで分かりやすく説明します。

  • アカウント(利用権)の管理を徹底すること: 会社が用意した仕事用のアカウントだけを使い、パスワードは定期的に変更させます。
  • メッセージ削除のルールを決めること: 過去の送信メッセージを勝手に消すことを禁止します。トラブル時の証拠をのこすためです。
  • 相談するための窓口を用意すること: チャットで嫌がらせをうけたときの、相談窓口を決めて伝えておきます。

6. チャットツールと就業規則に関するよくある質問

Q1:就業規則を変更せずに、チャットの利用規約だけを配布しても有効ですか?

結論から申し上げますと、利用規約の配布だけでは、違反した人への処分などに強い法的な力を持たせることは難しいです。理由は、懲戒処分をおこなうために、その根拠を就業規則に書く必要があるからです。

もちろん、手引きとして配布することは、マナー向上のためにとてもよいことです。しかし、重大なトラブルを確実に防ぐためには、規約を就業規則の一部として正式に定めることが大切です。

まずは、会社の就業規則の中に、チャットツールの項目を追加することを考えましょう。

Q2:業務時間外にチャットを送ることを完全に禁止しなければいけませんか?

完全に禁止する必要はありませんが、時間外の連絡は原則として「返信しなくてよい」というきまりにすることが大切です。なぜなら、完全に禁止してしまうと、システム障害などの緊急対応ができなくなるからです。

そのため、「夜のメッセージ送信は緊急時をのぞき控える」「受け取った側は次の日に返信すればよい」とするのが実務的です。このように決めておくことで、従業員が夜間に返信しなければならないというプレッシャーを減らせます。

結果として、不要な残業代の請求トラブルを防ぐことができます。

Q3:個人所有のスマホでSlackを見ることを禁止すべきでしょうか?

セキュリティの観点からは、個人所有のスマートフォンでの利用は原則として禁止することが望ましいです。なぜなら、個人の端末から会社の秘密のデータが外に漏れるリスクがとても高いからです。

もし、どうしても利用を許可する場合は、いくつかのルールを設定する必要があります。たとえば、端末に必ずロックをかけることや、やめるときにデータを完全に消す誓約書を提出させます。

リスクを減らす方法と従業員の便利さのバランスを考え、自社にあうルールを専門家に相談しながらつくりましょう。

7. まとめ

本記事では、IT企業におけるチャットツールの普及にともなうお話をしました。就業規則に書くべき具体的な項目について、詳しく解説してきました。手軽なツールであるからこそ、働く時間の管理や安全対策、ハラスメントなどの課題が浮き彫りになります。

トラブルを防ぐためには、会社のルールを明確にし、みんなが安心して働ける環境を整えることが大切です。ルールを正しく見直すことで、職場の生産性や定着率の向上にもつながります。

しかし、就業規則の変更には法律の専門知識が必要となります。大きな問題がおきる前に、信頼できる専門家へご相談することをおすすめします。


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