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エンジニアの副業を解禁すべきか?人事が判断すべき5つのポイント
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エンジニアの副業を解禁すべきか?人事が判断すべき5つのポイント

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2026.10.13

エンジニアの副業を認めるかどうか、悩ましいですよね。社員から相談を受けて迷うお気持ち、よく分かります。

副業は採用や定着に役立つ一方で、労働時間の管理や情報漏えいなど気になる点もあります。ルールがないまま黙認すると、問題が起きたときに対応しにくくなります。

この記事では、エンジニアの副業を解禁するか判断するための5つのポイントと、専門家に相談したい場面を解説します。


なぜ今、エンジニアの副業への対応が求められるのか

エンジニアの副業は、もはや一部の人だけの働き方ではありません。会社として方針を持たないままでいると、採用と管理の両面で不利になりやすくなります。

国のガイドラインは「原則として認める」方向

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、改定を重ねています。モデル就業規則も、副業を許可制とする規定を削り、届出を前提とした規定に改められました。

ガイドラインでは、会社が副業を禁止・制限できる場面を次のように示しています。

  • 労務の提供に支障がある場合
  • 業務上の秘密が漏えいする場合
  • 競業により自社の利益が害される場合
  • 自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を壊す行為がある場合

つまり、理由なく一律に禁止するのではなく、認めたうえで必要な制限をかける考え方が基本です。ガイドラインやQ&A、届出の様式例は、厚生労働省の「副業・兼業」のページをご確認ください。

採用と定着で「副業可」が見られている

エンジニアは、社外の開発や技術コミュニティで経験を積みたいと考える人が多い職種です。求人を見る際に、副業の可否を確認する応募者もいます。

副業を一律に禁止していると、それだけで候補から外される場合があります。反対に、方針が明確であれば、安心して長く働ける会社だと受け取ってもらいやすくなります。

ガイドラインでは、副業を認めているかどうかや、その条件を公表することが望ましいとされています。自社の方針を決めることは、採用の場面での説明にも役立ちます。


エンジニアの副業で起きやすい2つの落とし穴

解禁そのものより、ルールが曖昧なまま始めることが問題になりやすいです。ここでは、IT企業で特に起きやすい落とし穴を見ていきます。

労働時間の通算を見落とす

副業先でも雇用契約で働く場合、労働基準法では本業と副業の労働時間を通算します。通算した結果、法定労働時間を超える部分は割増賃金の対象になる場合があります。

副業先での労働時間は、本人の申告をもとに把握するのが一般的です。申告の方法や頻度を、あらかじめ決めておきましょう。

一方で、業務委託やフリーランスとして受託する場合は、原則として労働時間の通算の対象になりません。副業が「雇用」か「業務委託」かを届出で確認することが、管理の出発点です。

なお、通算による割増賃金のルールについては、見直しが議論されています。制度が変わる可能性もあるため、最新の動向を確認しながら運用することが大切です。

秘密情報と成果物の扱いが曖昧になる

エンジニアが副業をする場合、自社と近い技術や業界の案件を受けることがよくあります。その結果、次のようなトラブルが起きるおそれがあります。

  • 自社のソースコードや設計情報を、副業で流用してしまう
  • 会社のパソコンやアカウントを副業に使ってしまう
  • 競合する会社の開発を手伝ってしまう
  • 副業で作った成果物の権利の帰属で争いになる

秘密保持と競業の範囲を、具体的に決めておくことが欠かせません。


解禁を判断する5つのポイントと実務対応

ここからは、人事が判断すべき5つのポイントを整理します。自社の状況に当てはめて、点検してみてください。

人事が判断すべき5つのポイント

ポイント確認すること
1. 目的と本業への影響何のために認めるか、本業に支障が出ないか
2. 副業の形態雇用か業務委託か、労働時間の通算が必要か
3. 秘密保持と競業禁止する業種や案件、情報の持ち出しの禁止
4. 健康の確保長時間労働にならないか、深夜の作業はないか
5. ルールと手続き就業規則、届出の様式、審査の基準

特に大切なのは、2と4です。労働時間を通算する必要がない業務委託の副業でも、長時間の作業が続けば健康を損なうおそれがあります。

申告された時間をもとに、面談や働き方の見直しにつなげる仕組みを作りましょう。労働時間の把握が難しい場合は、厚生労働省が示す「管理モデル」を使う方法もあります。管理モデルは、本業と副業それぞれの労働時間に上限を決め、その範囲内で働いてもらう方法です。

就業規則と届出の流れを整える

副業を認める場合は、次の順番で整えるとスムーズです。

  1. 就業規則に、副業の届出と制限の規定を設ける
  2. 届出書の様式を作り、副業の内容や形態、時間を記入してもらう
  3. 秘密保持や競業の誓約書を取り交わす
  4. 定期的に副業の状況を確認する

IT企業の人事制度の整備については、IT企業向けのサービスページもご参照ください。就業規則の見直し方については、こちらの記事もご参照ください。


専門家である社労士の視点

エンジニアの副業は、制度を作れば終わりではありません。運用の中で判断に迷う場面が必ず出てきます。

自社で対応できる範囲と、専門家に相談したほうがよい場面は、次のように分けて考えると判断しやすくなります。

自社で対応できる範囲専門家に相談したほうがよい場面
副業を認める目的や方針を決める就業規則の条文を作る、見直す
届出書の項目を考える雇用型の副業で労働時間を通算する
社員から副業の内容を聞き取る裁量労働制やフレックスの社員が副業をする
副業の状況を定期的に確認する副業を断る、制限する判断をする

たとえば、よくある状況をもとにしたモデルケースで考えてみます。フレックスで働くエンジニアが、平日の夜に別の会社で雇用されて働き始めたとします。

この場合、労働時間の通算や割増賃金の考え方が複雑になります。雇用型の副業や、副業を制限する判断は、個別に専門家へ確認することをおすすめします。

また、副業を認めると、社会保険や労災保険でも確認すべき点が出てきます。副業先でも社会保険の加入要件を満たす場合は、本人が年金事務所へ届出をする必要があります。

労災保険には、複数の会社で働く人の賃金を合算して給付を計算する仕組みがあります。手続きの漏れを防ぐためにも、副業の状況を会社が把握しておくことが大切です。


よくある質問(FAQ)

Q1. エンジニアの副業を全面的に禁止してもよいですか?

一律に禁止することはおすすめしません。ガイドラインでは、労働時間以外の時間は原則として労働者が自由に使えるとされています。会社が副業を制限できるのは、労務の提供に支障がある場合や、秘密の漏えい、競業などの場面です。理由のない全面禁止は、トラブルになるおそれがあります。認めたうえで、届出と審査で必要な制限をかける方法を検討しましょう。

Q2. 業務委託の副業なら、会社は何も管理しなくてよいですか?

管理が不要になるわけではありません。業務委託の副業は、原則として労働時間の通算の対象にはなりません。ただし、長時間の作業が続けば、本業での集中力や健康に影響が出るおそれがあります。届出で作業時間の目安を確認し、定期的に面談で状況を聞くとよいでしょう。秘密保持や競業のルールも、雇用型の副業と同じように守ってもらう必要があります。

Q3. 副業を認めたあとで、取り消すことはできますか?

条件によっては、取り消すことができる場合があります。たとえば、本業に支障が出た場合や、競業にあたる案件を受けていた場合です。取り消しの判断が適切かどうかは、就業規則の規定や事情によって変わります。あらかじめ、取り消しの条件を就業規則や誓約書に書いておくことが大切です。実際に取り消す前には、専門家へご相談ください。


まとめ

エンジニアの副業は、採用や定着の面で会社にとって良い効果が期待できます。一方で、労働時間の管理や秘密保持など、決めておくべきことも多くあります。

  • 一律に禁止せず、届出と審査で必要な制限をかける
  • 副業が雇用か業務委託かを確認する
  • 秘密保持、競業、健康の確保のルールを具体的に決める

エンジニアの副業を解禁するかどうかは、この記事の5つのポイントに沿って点検してみてください。


エンジニアの副業のルールづくりや就業規則の見直しは、IT企業向けのサービスページで支援内容をご覧いただけます。自社の状況に合う進め方を知りたい場合は、無料相談もお気軽にご利用ください。

【免責事項】
本記事は、2026年10月時点の法令および公的機関の公表情報にもとづき、一般的な情報の提供を目的として作成しています。
法改正や通達の変更などにより、内容が最新の取扱いと異なる場合があります。
個別の事案への当てはめは、会社の状況によって結論が変わります。実際の対応にあたっては、専門家へご相談ください。
本記事の情報を利用した結果について、当法人は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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