労働時間の自己申告制、IT企業でトラブルになる3パターン
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2026.07.02
エンジニアの労働時間管理、本当に今のままで大丈夫でしょうか!?
労働時間の自己申告制を導入しているIT企業の経営者や人事のみなさま、実態とのズレに悩むことはありませんか?
本記事では、IT企業でトラブルに発展しやすい具体的なパターンを分かりやすく解説します。
未払い残業代のリスクを防ぎ、エンジニアが安心して働ける環境づくりのヒントが見つかります。
なぜ今、労働時間の自己申告制がIT企業で問題視されるのか
IT業界では、働く場所や時間の自由度が高い企業が多くあります。そのため、働く人が自分で時間を報告する仕組みがよく使われます。
しかし、この仕組みが原因でトラブルになるケースが急増しています。特に、インターネット上で完結する業務が多いIT企業では注意が必要です。働く人の申告と、実際の働く時間に大きなズレが生じやすいためです。
会社が実態を正確に把握していないと、後から大きな問題になります。近年、未払い残業代の請求リスクが高まっています。
法改正により、残業代を請求できる期間が延びたためです。これにより、経営を揺るがすような多額の請求を受ける企業が増えています。

リモートワークやフレックスタイム制による見えない労働
リモートワークやフレックスタイム制は便利です。しかし、これらの制度は働く姿が会社から見えなくなります。そのため、この申告の方法が正しく機能しなくなることが多いのです。
たとえば、自宅で夜遅くまでプログラムを修正しているケースがあります。本人は「自分の進みが遅いから」と、その時間を会社に報告しないことがあります。会社が知らないうちに、過酷な長時間労働が起きているのです。
このような「見えない労働」は、あとから証拠とともに出てくることがあります。本人が個人的に記録していたメモや、チャットの送信履歴が証拠になります。
裁量労働制(みなし労働時間制)の誤解と適正運用の難しさ
IT企業では、専門業務型裁量労働制がよく使われます。しかし、この制度を導入していれば安心というわけではありません。制度の対象となる業務には、厳しい決まりがあるためです。
システムエンジニアであっても、すべての業務が対象になるわけではありません。ただのデータ入力や、指示通りのテスト作業は対象外となることがあります。ここを誤解していると、制度自体が無効と判断されるリスクがあります。
制度が無効になると、過去にさかのぼって残業代を支払う必要があります。また、裁量労働制であっても深夜労働の手当は必要です。休日出勤の手当も別に支払わなければならないため、時間管理が欠かせません。
労働時間の自己申告制で訴訟になりやすい3つのパターン
パターン1:実際のパソコン稼働履歴と申告時間に大きな乖離がある
もっともトラブルになりやすいのは、パソコンのログデータとのズレです。この運用のなかでは、本人が「18時に退勤した」と報告することがあります。しかし、パソコンの起動履歴を見ると、22時まで動いているケースです。
このような乖離があるとき、裁判ではログデータが重視されます。会社が「本人が勝手に残っていただけだ」と主張しても、認められないことが多いです。パソコンが動いていた時間は、仕事の手を動かしていた時間とみなされます。
会社としては、報告された時間とログデータが合っているか確認する義務があります。放置していると、会社が黙認していたと判断されます。その結果、多額 of 未払い残業代の支払いを命じられることになるのです。
パターン2:上司からの無言の圧力で残業時間を過少申告している
2つ目のパターンは、職場に漂う雰囲気によるものです。「残業が多い人は仕事ができない」という空気がある会社は危険です。働く人は、評価が下がることを恐れて、働く時間を正しく報告しません。
本当は月40時間の残業をしていても、10時間と低めに報告してしまいます。上司が直接「残業を減らせ」と言っていなくても、無言の圧力になります。
このような過少申告は、退職後に問題化します。退職した人が、在職中の正しい労働時間を証明するデータを集めていることがあります。「本当は会社に言えなかった」と主張されると、会社は非常に不利になります。働く人が本音で正しく申告できる環境がないと、訴訟リスクは消えません。
パターン3:定額残業代(固定残業代)の枠内に収めるための調整が行われている
3つ目は、定額残業代(固定残業代)に関するものです。たとえば、月20時間分の手当があらかじめ基本給に含まれているとします。このとき、毎月の報告でぴったり20時間と報告されるケースです。
毎月の報告がいつも同じ時間になることは、自然な状態ではあり得ません。手当の枠を超えないように、働く人が自分で調整している可能性が高いです。
会社が「20時間以内に収めるように」と指示していることもあります。枠を超えた分の残業代は、会社が追加で支払う義務があります。
この追加支払いを避けるための調整は、明らかな法律違反となります。裁判になれば、過去のすべての調整が否定され、大きな負担が会社にふりかかります。

IT企業が取り組むべき労働時間の自己申告制の見直しと対策
対策1:客観的な記録との合致確認を徹底する
トラブルを防ぐための第一歩は、客観的な記録の活用です。厚生労働省のガイドラインでも示されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
会社は、働く人の自己申告だけに頼ってはいけません。具体的には、タイムカードの記録やパソコンのログデータを確認します。自己申告された時間と、これらの記録にズレがないかを定期的にチェックします。
もし1時間以上のズレがあれば、その理由を本人に確認しましょう。理由が「仕事が終わらなかったため」であれば、残業として認めます。「私用でネットを見ていたため」であれば、その旨を記録に残します。
対策2:就業規則の改定と適正な労務管理の構築
次に大切なのは、会社のルールを明確にすることです。就業規則を見直しましょう。残業をするときは、事前の申請と許可を必須とするルールを定めます。許可のない残業は原則として禁止することを、社員に周知します。
ただし、ルールを作るだけでなく、実際の運用も徹底しなければなりません。禁止と言いながら、業務量が多くて残業せざるを得ない状況は防ぐ必要があります。また、36協定の範囲を守ることも大切です。
ルールと実態を一致させることが、適正な時間管理を守る鍵となります。就業規則の改定手順については、こちらの記事もご参照ください。ここで、IT企業における労働時間管理のポイントをまとめました。
以下の表を参考に、貴社の現状をチェックしてみてください。
| 管理項目 | 良い運用の例 | 危険な運用の例 |
| 時間の確認方法 | パソコンのログと申告を毎月比べる | 本人の自己申告だけをそのまま信じる |
| 残業のルール | 事前に上司の許可を得てから残業する | 申請なしで自由に残り、後から申告する |
| 固定残業代の扱い | 枠を超えた分は毎月計算して追記する | 毎月ぴったり枠内の時間で報告させる |
専門家である社労士の視点:IT企業の持続的な成長とエンジニア採用への影響
私たち専門家の視点からお伝えしたいことがあります。労働時間の管理を適正に行うことは、単なるリスク対策ではありません。それは、大切なエンジニアの健康を守り、会社の成長を支える土台となります。
IT業界では、優秀な人材の獲得競争が激しくなっています。求職者は、会社の労務管理の姿勢をよく見ています。
クリーンな環境で働ける会社には、自然と良い人材が集まるものです。逆に、自分で時間を報告する仕組みが形骸化している会社は敬遠されます。うわさはSNSなどですぐに広まるためです。
会社を守り、人を育てるためにも、今すぐ管理方法を見直すことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1:リモートワークでの自己申告時間はどこまで信用すべきですか?
回答:原則として本人の自己申告を尊重しますが、客観的なデータでの確認が必要です。リモートワークであっても、会社には労働時間を適正に把握する義務があるためです。チャットツールのログイン時間や業務ログを確認し、大きな違いがあれば本人に理由を確かめて記録に残すことが大切です。
Q2:パソコンのログが残っていても、本人が「休憩していた」と言えば残業になりませんか?
回答:本人の言い分だけでなく、実態に基づいた慎重な判断が必要です。裁判などでは、パソコンが動いていた時間は仕事中とみなされる可能性が高いためです。もし本当に休憩していたのであれば、その時間帯や理由が合理的でなければなりません。日頃から、休憩するときはログを止めるなどのルールを決めておくことがトラブル防止になります。
Q3:裁量労働制を導入していれば、自己申告制によるトラブルは防げますか?
回答:いいえ、裁量労働制であっても労働時間の把握義務があるため、トラブルは防げません。健康管理の観点や、深夜労働・休日労働の計算のために、時間の把握が必要だからです。また、制度の対象外の業務をさせていた場合は、制度自体が無効になるリスクもあります。自己申告制と組み合わせる場合でも、客観的な記録とのチェックは欠かせません。
労働時間の自己申告制を見直して健全なIT企業へ(まとめ)
今回の内容を振り返ります。
IT企業において、労働時間の自己申告制は便利な反面、大きな訴訟リスクをはらんでいます。
パソコンのログとのズレや、職場の空気による過少申告は、後から未払い残業代の請求につながります。大切なのは、客観的な記録を確認し、ルールに沿った適正な運用を行うことです。
残業管理や就業規則の見直しについて、少しでも不安を感じることはありませんか。労働時間の自己申告制について詳しくは、当法人のIT企業向け労務サポートサービスをご覧ください。
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東京都を中心に、特定業種への深い専門性を持つ当法人が、貴社の労務管理をしっかりと支えます。
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