社会保険手続きのアウトソーシングとは?依頼できる範囲
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2026.10.15
社会保険の届出に追われ、本来の人事の仕事に手が回らない状況は、つらいですよね。担当者が1人だと、その方が休むだけで手続きが止まることもあります。
社会保険手続きのアウトソーシングを考えても、どこまで頼めるのかが分からないと判断しにくいものです。
この記事では、依頼できる範囲と社内に残す業務の分け方、依頼先を比べるときの観点を整理します。
なぜ今、社会保険手続きのアウトソーシングが検討されているのか
社会保険の手続きは、件数が多いうえに期限が短いものが少なくありません。担当者の負担が大きくなりやすい業務の一つです。
期限の短い手続きが毎月のように発生する
たとえば、健康保険・厚生年金保険の資格取得届は、事実発生から5日以内に提出します。雇用保険の資格取得届は、原則として被保険者となった日の翌月10日までが期限です。
入社や退職が重なる時期は、ほかの業務と並行してこれらを処理することになります。年に一度の算定基礎届や、労働保険の年度更新も重なります。

電子申請への対応が求められている
資本金などの額が1億円を超える法人などは、一部の手続きで電子申請が義務になっています。対象は、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届、雇用保険の資格取得届・資格喪失届などです。
社会保険労務士を通じて手続きを行う場合も、この義務の対象になります。詳しくは厚生労働省の『特定法人に係る電子申請の義務化』をご確認ください。
義務の対象でない会社でも、電子申請の環境を整える手間は小さくありません。利用環境の準備や操作の習得など、担当者が覚えることも増えます。こうした背景から、外部の専門家に任せる選択肢を検討する会社が増えています。
社会保険手続きのアウトソーシングで見落としやすい落とし穴
依頼すれば社内の手間がなくなる、と考えてしまうのはよくある誤解です。事前に知っておきたい点を2つ挙げます。
社内に残る業務がある
外部に任せても、情報を集めて渡す役割は社内に残ります。入社日、賃金、扶養家族の情報などは、会社からしか出てきません。
- 入退社や異動の情報を、決まった日までに伝える
- 従業員から必要な書類やマイナンバーを回収する
- 賃金の変動や賞与の支給額を共有する
この連絡の流れが決まっていないと、依頼先がどれだけ速く動いても期限に間に合わないおそれがあります。
また、マイナンバーや扶養家族の情報など、取り扱いに注意が必要な情報を外部とやり取りすることになります。受け渡しの方法や保管のルールを、契約の前に確認しておくと安心です。
依頼先によって任せられる範囲が違う
社会保険の書類の作成や提出の代行は、社会保険労務士の業務とされています。社会保険労務士以外の者が、報酬を得て業として行うことは、社会保険労務士法で制限されています。
依頼先を比較するときは、料金や対応の速さだけでなく、だれが手続きを担当するのかも確かめておくと安心です。社会保険労務士の業務については、厚生労働省の『社会保険労務士制度』で確認できます。
【画像挿入推奨:業務の分担を確認する打ち合わせのイメージ画像】

依頼できる範囲と社内に残す業務の分け方
ここからは、実務で依頼できる範囲と、自社での分け方を具体的に見ていきます。
依頼できる主な手続き
社会保険手続きのアウトソーシングで、一般的に依頼の対象になる手続きを表にまとめました。
| 区分 | 主な手続き | 社内で用意する情報 |
|---|---|---|
| 入社時 | 健康保険・厚生年金保険の資格取得届、雇用保険の資格取得届 | 入社日、賃金、扶養家族の情報 |
| 退職時 | 資格喪失届、雇用保険の離職証明書 | 退職日、退職理由、直近の賃金 |
| 年1回 | 算定基礎届、労働保険の年度更新 | 4月から6月の賃金、年間の賃金総額 |
| 随時 | 月額変更届、賞与支払届、被扶養者の異動 | 固定的賃金の変動、賞与の支給額 |
| 給付 | 出産や育児休業に関する届出、傷病手当金の申請 | 休業期間、医師の証明など |
どこまでを契約に含めるかは、依頼先と個別に決めることになります。届出のたびに頼む形もあれば、顧問契約に含める形もあります。
自社で対応できる範囲と、専門家に任せたい場面
すべてを外に出す必要はありません。たとえば、日々の入退社の届出は社内で行い、年に一度の手続きだけを任せる分け方もあります。社内の体制に合わせて分けると、費用と手間のつり合いが取りやすくなります。
自社で対応しやすいのは、件数が少なく、毎回の内容がほぼ同じ手続きです。 入退社が年に数人で、担当者が電子申請に慣れている会社であれば、社内で回せる場合もあります。
一方で、次のような場面は専門家に任せたほうが安心です。
- 入退社が多く、担当者1人では期限を守るのがむずかしい
- 育児休業や傷病手当金など、判断が必要な手続きが増えてきた
- 算定基礎届や年度更新の時期に、ほかの業務が止まってしまう
- 担当者の退職や異動で、手続きの知識が社内に残らない
給与計算と社会保険の手続きは、賃金の情報を共有する点で深くつながっています。両方をまとめて任せる形もあります。詳しくはこちらの記事もご参照ください。
費用と手間の考え方
費用の形は、大きく分けて2つあります。届出の件数ごとに料金がかかる形と、月額の顧問料に手続きが含まれる形です。
| 費用の形 | 向いている会社 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 件数ごと | 入退社が少なく、依頼が不定期な会社 | 年に一度の手続きの料金、急ぎの依頼の扱い |
| 月額の顧問料 | 入退社が多く、相談も合わせてしたい会社 | 料金に含まれる手続きの範囲、件数の上限 |
比べるときは、料金だけでなく、社内の担当者が手続きにかけている時間も見ておくとよいでしょう。調べものや書き直しの時間を含めると、思ったより手間がかかっていることがあります。
専門家である社労士の視点
社会保険手続きのアウトソーシングは、手続きを外に出すだけでなく、社内の情報の流れを整える機会でもあります。
よくある状況をもとにしたモデルケースでご説明します。従業員30人ほどの会社で、総務の担当者1人が社会保険の手続きを兼務していました。その方の産前産後休業をきっかけに外部へ依頼し、あわせて入退社の連絡票を作りました。
結果として、担当者が復帰したあとも連絡の流れが残り、手続きの遅れが起きにくくなりました。外部に任せる範囲を決める作業が、業務の見直しにつながった例です。
依頼先を比べるときは、次の3点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 対象となる手続きと、追加料金がかかる手続きの線引き
- 情報の受け渡しの方法と、締め切りの決め方
- 手続きの判断に迷ったときに、相談できる体制があるか
また、依頼先が決まったら、最初に現在の加入状況や手続きの記録を共有しておくことをおすすめします。過去の届出の漏れが見つかることもあるためです。
なお、個々の手続きが必要かどうかは、会社や従業員の状況によって変わります。判断に迷う場合は、専門家へご相談ください。
よくある質問(FAQ)
少人数の会社でも依頼できますか
依頼できます。むしろ従業員が少ない会社ほど、担当者が1人で兼務していることが多く、外部に任せる効果を感じやすい傾向があります。届出のたびに依頼する形や、年に一度の算定基礎届や年度更新だけを任せる形もあります。自社の手続きの件数と、担当者が使える時間を見比べて、範囲を決めるとよいでしょう。まずは1年間の届出の件数を数えてみると、判断の材料になります。
依頼すると社内の担当者は不要になりますか
不要にはなりません。入社日や賃金、扶養家族の情報などは会社からしか出てこないため、情報を集めて渡す役割は社内に残ります。ただし、書類の作成や提出、期限の管理を任せられるので、担当者の負担は小さくなります。社内の窓口を1人決めておき、連絡の締め切りを依頼先と取り決めておくと、手続きがスムーズに進みます。
社会保険手続きのアウトソーシングと給与計算はまとめて頼めますか
まとめて依頼できる場合が多いです。月額変更届や賞与支払届は、給与計算のデータをもとに作成するため、同じ依頼先に任せると情報の受け渡しが一度で済みます。ただし、依頼先によって対応できる範囲は異なります。比較の際は、給与計算と社会保険の手続きの両方を同じ契約で扱えるか、料金の考え方とあわせて確認しておくと安心です。
まとめ
社会保険手続きのアウトソーシングでは、書類の作成や提出、期限の管理を任せられます。一方で、情報を集めて渡す役割は社内に残ります。
- 依頼できる範囲は、契約の内容によって変わる
- 社内の連絡の流れを決めておくと、期限を守りやすい
- 依頼先を比べるときは、だれが手続きを担当するのかも確かめる
自社の件数や体制を見直し、どこまでを外に出すかを決めることが、社会保険手続きのアウトソーシングを活かす第一歩です。

社会保険の手続きをどこまで任せるか迷っている場合は、社会保険労務士法人秋田国際人事総研の無料相談をご利用ください。現在の手続きの件数や社内の体制をうかがい、自社に合う依頼の範囲と進め方を一緒に整理いたします。
【免責事項】
本記事は、2026年10月時点の法令および公的機関の公表情報にもとづき、一般的な情報の提供を目的として作成しています。
法改正や通達の変更などにより、内容が最新の取扱いと異なる場合があります。
個別の事案への当てはめは、会社の状況によって結論が変わります。実際の対応にあたっては、専門家へご相談ください。
本記事の情報を利用した結果について、当法人は責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
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