育成就労から特定技能1号へ移行する条件と手続きを社労士が解説
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特定技能
2026.05.13
「外国人雇用を検討しているけれど、新しい制度が複雑でよく分からない……」と、頭を悩ませていませんか?
制度が大きく変わる時期は、何をどう進めればよいのか不安になりますよね。
2027年ごろからスタートする予定の育成就労(これまでの技能実習に代わる新しい制度)から特定技能1号(特定の分野で即戦力として働くための在留資格)への移行は、これからの人材確保において非常に大切なポイントです。
この記事では、育成就労から特定技能1号へスムーズに移行するための条件や、具体的な手続きの流れを分かりやすくお伝えします。
実務に直結する内容をまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ今、育成就労から特定技能1号への移行が重要なのか
これまでの「技能実習制度」から「育成就労制度」へと変わる中で、最も注目されているのが、特定技能へのスムーズなステップアップです。
なぜ、この移行が企業の成長にとって欠かせないのかを解説します。
長期的な戦力として定着してもらうため
育成就労の期間は、原則として3年間とされています。
せっかく日本の環境に慣れ、仕事のスキルを身につけたスタッフが、3年で帰国してしまうのは企業にとって大きな損失ですよね。
特定技能1号へ移行することで、さらに通算で5年間の就労が可能になります。
その後、特定技能2号へ進めば、更新に制限がなくなり、家族を呼ぶこともできるようになります。
つまり、移行の手続きを正しく理解することは、貴重な人材を長く勤めてもらうための「鍵」なのです。
人手不足を解消する即戦力の確保
特定技能は、もともと「即戦力」を求めて作られた資格です。
育成就労で3年間じっくりと育てた人材は、現場のルールも言葉も理解している最高の即戦力といえます。
新たに外国から人を呼ぶよりも、教育コストを抑えつつ、安定した運営を続けることができます。
また、育成就労から移行する場合は、一部の試験が免除されるなどのメリットもあります。
この仕組みをうまく活用できるかどうかが、今後の採用競争力を左右するでしょう。
育成就労から移行する際の具体的な課題と落とし穴
制度が変わることで、これまでとは違った注意点も出てきます。
「知らなかった」では済まされない落とし穴について、あらかじめ確認しておきましょう。
日本語能力と技能試験のハードル
育成就労から特定技能1号へ移行するためには、一定の日本語能力と、仕事に関するスキルの試験に合格する必要があります。
具体的には、日本語能力試験の「N3」程度を目指すことが推奨されています(一部の分野ではN4以上)。
これまでの技能実習では、試験に落ちてもそのまま帰国というケースが多かったのですが、育成就労では「特定技能への移行」を前提とした育成が求められます。
日々の業務が忙しすぎて、スタッフが勉強する時間を取れないままだと、いざ移行するときに試験に受からず、働き続けられなくなる恐れがあります。
転籍への対応
新しい育成就労制度では、一定の条件を満たせば「本人の意思による転籍」が認められるようになります。
これは、企業側にとって大きな環境の変化です。
「今の職場よりも条件が良いところへ行きたい」とスタッフが考えてしまうと、移行のタイミングで他社に引き抜かれてしまうかもしれません。
単に手続きを進めるだけでなく、日頃から「ここでずっと働きたい」と思ってもらえるような職場環境づくりや、適切な労務管理がこれまで以上に重要になります。
スムーズな移行に向けた解決策と実務対応のポイント
課題を乗り越えて、確実に特定技能へ移行してもらうためには、計画的な準備が必要です。
実務担当者が押さえておくべきポイントを整理しました。
計画的な試験対策のサポート
移行には「日本語能力」と「技能評価試験(仕事のスキルを測るテスト)」の合格が必須です。
企業としてできることは、スタッフが試験を受けやすい環境を整えることです。
例えば、以下のような支援が考えられます。
- 日本語学校やオンライン講座の費用を一部補助する
- 勤務時間内に勉強時間を設ける
- 社内で模擬試験を実施して、苦手な部分を見つける
早めに準備を始めることで、スタッフも安心して仕事に打ち込むことができます。
雇用条件とキャリアパスの提示
特定技能1号へ移行する際には、育成就労のときよりも給与などの待遇(給料や休みなどの条件)を改善する必要があります。
日本人と同等以上の給与を支払うことは法律で決まっていますが、それ以上に「移行したらこれだけ給与が上がる」「こんな役職に就ける」という未来を見せることが大切です。
以下の表に、一般的な移行の際の違いをまとめました。
| 項目 | 育成就労 | 特定技能1号 |
| 目的 | 人材育成・人材確保 | 即戦力としての就労 |
| 在留期間 | 原則3年 | 通算5年 |
| 日本語レベル | 入国時はA1(N5)相当 | 移行時はA2(N4)〜N3相当 |
| 家族の帯同 | 認められない | 原則認められない(2号は可) |
| 転籍の自由 | 条件付きで可能 | 同一分野なら可能 |
このように、ステップアップすることで本人のメリットも増えることをしっかり伝えましょう。
煩雑な書類作成のスケジュール管理
特定技能への移行手続きは、出入国在留管理庁への申請が必要です。
申請には多くの書類が必要であり、準備に1ヶ月から2ヶ月ほどかかることも珍しくありません。
在留期限が切れる直前に慌てないよう、3ヶ月前には準備を開始するスケジュールを組んでおきましょう。
社会保険労務士の視点:制度変更に伴う労務管理の注意点
社会保険労務士の立場からお伝えしたいのは、「コンプライアンス」の徹底です。
育成就労や特定技能のスタッフを受け入れる際、労働基準法(ろうどうきじゅんほう:働く人の最低限のルールを決めた法律)を守ることは当然ですが、それ以上に厳しいチェックが入ります。
例えば、以下のような点は特に注意が必要です。
- 36協定の上限を超えていないか
- 賃金台帳に不備はないか
- 社会保険への加入が正しく行われているか
もし、これらの労務管理に不備があると、特定技能への移行が認められないだけでなく、今後数年間にわたって外国人を受け入れられなくなるという重いペナルティを受けるリスクがあります。
制度が新しくなるこのタイミングで、一度自社の就業規則や管理体制を見直しておくことを強くおすすめします。
また、特定技能1号のスタッフをサポートする「登録支援機関」との連携も重要です。
自社で支援を行うのか、外部に委託するのか、コストと手間のバランスを考えて判断しましょう。
よくある質問 (FAQ)
育成就労から特定技能1号への移行に関して、経営者さまや人事担当者さまからよくいただく質問にお答えします。
育成就労から特定技能1号へ移行するとき、試験は必ず受けないといけませんか?
原則として、技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。
ただし、これまでの技能実習制度と同様に、育成就労を良好に修了(3年間しっかり働き、一定の評価を得ること)した場合は、同じ職種であれば技能試験や日本語試験が免除される仕組みになる予定です。
詳しい免除条件については、今後発表される厚生労働省の指針をこまめに確認することが大切です。
移行の手続き中に在留期限が来てしまったら、どうすればいいですか?
在留期限までに「在留資格変更許可申請」を完了させておく必要があります。
申請が受理されていれば、結果が出るまでの間(最長2ヶ月間)は、今の在留資格のまま日本に留まることができます。
しかし、書類の不備などで受理されないケースもあるため、余裕を持って期限の2〜3ヶ月前には申請を行うようにしましょう。
育成就労のスタッフが、特定技能へ移行せずに他社へ転職してしまうことはありますか?
はい、可能性はあります。
新しい制度では、一定の条件(同じ会社で1〜2年働く、日本語やスキルの要件を満たすなど)をクリアすれば、本人の希望による転籍が可能になります。
移行のタイミングで「もっと給料が高い会社」へ移られてしまうのを防ぐには、日頃のコミュニケーションや、適切な人事評価制度の構築が欠かせません。
専門家へ相談しながら、選ばれる会社作りを進めていきましょう。
まとめ
育成就労から特定技能1号への移行は、これからの日本企業が人手不足を乗り越え、持続的に成長していくための大きなチャンスです。
制度の内容を正しく理解し、計画的に準備を進めることで、優秀な外国人スタッフに長く活躍してもらうことができます。
最後にもう一度、大切なポイントを振り返りましょう。
- 育成就労から特定技能1号への移行は、長期的な戦力確保に不可欠。
- 日本語試験や技能試験の対策を、企業として早めにサポートすることが成功の近道。
- 労務管理の不備は移行の妨げになるため、コンプライアンスの徹底が何より重要。
新しい制度への対応は、確かに手間も時間もかかります。
しかし、その先には「共に成長できる強い組織」が待っているはずです。
育成就労制度や特定技能への移行手続きについて、さらに詳しく知りたい方は、当法人の外国人雇用サポートサービスをご覧ください。
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